先の臨時国会で注目を集めたのが、れいわ新選組の舩後靖彦、木村英子両参院議員だ。舩後氏は難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者で、木村氏は手足がほとんど動かない脳性まひの障害を持つ。
参議院では2人が議員活動しやすいよう、介助費用を負担することを決めたが、これに対して真っ向から反論する議員らが現れた。どのような発言が行われたのか追ってみたい。
松井一郎 日本維新の会代表、大阪市長
「どなたにも適用できるよう制度全体を変えるならいいが、国会議員だからといって特別扱いするのは違う」
「国会議員は高額所得でスタッフも付く。政治家は個人事業主だから、事業主の責任で(費用支出に)対応すべきだ」
共同通信 7月30日
「その場しのぎでルールを変えるのはおかしいでしょ!」
7月30日、議員活動中も公費による介護サービスが受けられるよう求めていた舩後氏と木村氏に対し、参議院運営委員会の理事会は当面の間、参議院が費用を負担することを決定した。木村氏は現在、生活全般にわたって「重度訪問介護」を利用しているが、同制度は「通勤、経済活動にかかる支援」を公的補助の対象外にしており、議員活動は「経済活動」とみなされるため利用できない。
参院の決定に対していち早く反応したのが、日本維新の会の松井代表である。松井氏は舩後氏、木村氏を「特別扱い」するのはおかしいと主張し、自費で対応すべきだとした。ツイッターでも「税金支出ならば、国会議員という職業の障がい者だけが、その他の就労中の障がい者の皆さんと比べて、公的支援優遇となります。立法府がその場しのぎで福祉施策ルールを変えるのはおかしいでしょ!」と強い調子で批判している(7月30日)。
参院が当面負担って、どういう事?参議院議員のポケットマネーなら特殊事情で対応も理解できるが、税金支出ならば、国会議員という職業の障がい者だけが、その他の就労中の障がい者の皆さんと比べて、公的支援優遇となります。立法府がその場しのぎで福祉施策ルールを変えるのはおかしいでしょ! https://t.co/tqSnJiLe3y
— 松井一郎(大阪市長) (@gogoichiro) July 30, 2019
松井一郎 日本維新の会代表、大阪市長
「介助制度がないと働けないのか。違うと思う。支援を受けずに働いている人もいる」
「公的補助を受けずに電車通勤している全盲の職員もいた。危険だが、努力で克服していた」
東京新聞 8月1日
31日には記者団の取材に対し、松井氏は「介助制度がないと働けないのか」と批判を強め、自らが3月まで知事を務めていた大阪府では「公的補助を受けずに電車通勤している全盲の職員もいた。危険だが、努力で克服していた」と述べた。まるで障害者を危険な目に遭わせるのを肯定しているかのようだ。そもそも舩後氏も木村氏も「介助制度がないと働けない」のだが、そのことは知らないのだろうか。