脳は〈何もしていない〉状態でも疲れる。慢性的な疲労感が抜けない原因は、そこにある。日米の医師免許を持ち、25年以上に及ぶ臨床キャリアを誇る著者が、科学的な根拠に基づいた「脳の休め方」=「マインドフルネス」を語った本がヒット中だ。

 マインドフルネスへの注目は近年高まっており、書店には類書も多い。その中で本書が特徴的なのは、内容が小説仕立てである点だ。

「ストーリー形式を選んだのは、マインドフルネスを実践することで、どのような変化がビジネスや生活に起こるのか、読者にわかりやすく、具体的に伝えたかったからなんです」(担当編集者の藤田悠さん)

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 マインドフルネスのメソッド自体はとてもシンプルだ。呼吸や食事、簡単な運動など、目の前の物事に集中することで、脳疲労の原因となる脳の過剰な活動を抑える。日常生活に取り入れやすい方法であることが、物語のおかげで説得力をもって伝わってくる。

 瞑想がベースになっているため、ヨガやスピリチュアル系の本と並べて置かれることも多々あるマインドフルネス本。しかし本書は内容はもちろん、タイトルや装丁もビジネス書に寄せた。結果、刊行直後から30代、40代の男性層にリーチ。著者のテレビ出演をきっかけに、女性層や若年層にも読者が広がった。今春にはCDを付属した「実践編」の刊行も予定されている。

2016年7月発売。初版6000部。現在11刷16万部