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【東京がんストーリー】「がん一歩手前」の診断受けた2人の女性 結婚と子作りと仕事の狭間で

2019/09/03
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「がん一歩手前」の診断を受けた35歳未婚女子

 ゆるっとした連載の皮切りに会いに行ったのは、学生時代からの友人シブヤちゃん(仮名/35歳)だ。

シブヤさん(仮名)

 彼女は2015年、会社の健康診断で子宮頸がん一歩手前の「高度異形成」なる診断を受けて切除手術。しかし最近になって再発がわかり、再手術して病変を取り除いている。

「生きてて病気になったこともなかったから、“がん”ってワードを聞いたときは死ぬのかなって思ったよね」

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今度は「子どものことが頭をよぎるように」なった

 知識も経験も積んだ再発のときには慌てずに済んだが、今度は「子どものことが頭をよぎるように」なったと話す。

 医者いわく、手術が妊娠にどれほどの影響を与えるかは不明らしいが、交際相手には事実をありのまま伝えた。

 

 現在35歳のシブヤちゃんは、ずっと子どもを望んでいたが相手が見つからず、2年前から婚活を開始。SNSなどを使い、最初の1年で数十人の男性と会った。今付き合っている相手がいるが、「結婚は微妙」と話す。

 仕事はインテリア関係。やりたいことができる会社が好きだったが、都内で一人暮らしを続ける給料としては厳しいものがあった。そこで昨年末に一念発起し、大企業に転職。最近は子どものことは一旦、置いておくことにした。

「一番には生きていかなくちゃいけないから、お金が必要。そのためには新しい仕事で成果を出さなきゃって、それを理由に子どものことを考えるのがおろそかになってるんだよね。逃げかな」

 一時期は卵子凍結も考えていた彼女に、受精卵の凍結をしていろいろと学んだばかりだった自分は、熱烈に早めの対応を勧めたのだった。

卵子凍結に関してやりとりしたときのLINEトーク画面