35歳の女性ライター・小泉なつみさんの「大腸がん」が発覚したのは2018年11月のこと。主治医から告知を受けたとき、まずは「うそでしょ」とものすごく腹が立ったという小泉さん。「ぶっちゃけ、毎日がんを告知するって、どんな気分ですか」。小泉さん自身がお世話になった主治医の先生と、がん看護専門看護師の方に話を聞きました。
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どんな気持ちで毎日、がんを告知しているのか
歯医者や耳鼻科、産婦人科に整形外科など、この歳(35歳)になればそれなりにかかりつけ医がいるものだ。
でも、がんの主治医というのはちょっと別格なのである。なんでかといえば、彼らの口から出る言葉には、「生死」が絡むから。
昨年11月、自分の大腸がんが見つかったきっかけは、腸閉塞だった。とにかくお腹が痛くて、1年前に子どもを産んだばかりだったこともあり、後陣痛かと思ったほど(だから最初は産院に行った)。
そんな“がん”の可能性なんてみじんも考えていない、35歳の子持ち貧乏ライターにがんを告知することになったのが、公立昭和病院の消化器外科医長、板橋哲也さんだ。
私にとっては人生初、そして「生涯びっくりしたことランキング」ぶっちぎり1位の出来事だった“がん告知”だが、告知する側に立ってみれば、これも日常に違いない。
一体お医者さんたちはどんな気持ちで毎日、がんを告知してるのか。
病院通いを続けるうちにむくむくと湧き上がってきた疑問を、主治医の板橋先生&がん看護専門看護師の小湊裕美子さんに聞きに行ってきた。
「人の人生を変えてしまう一言を放つ」自覚と覚悟
「我々は告知をしないと進まないので好き嫌いでは語れないですが……でもひとつ言えるのは、告知をされる前と後で、患者さんの人生は全部変わります。我々の一言によっては、患者さんは前を向けなくなります。だからその言葉選びに関してはもっとも注意する点です」
板橋先生に告知のときの心境を訊ねると、慎重に言葉を選びながら、こう答えてくれた。
「なんて残酷な話をしているのだろう」と辛くなることは多々ある。けれども、「主治医が言わずして誰が言う」と、どんな内容であろうとも冷静に、正確に、そして何度でも話す機会を設けるようにしているという。