35歳の女性ライター・小泉なつみさんは、今年2月に自身のホームページで「大腸がん」をカミングアウトしてから、「実は自分も……」と周りの人たちから様々な“がん告白”を受けたといいます。ある知人の男性から「私の家内もがんに罹患し、11年間闘病しました」とメールを受け取った小泉さん。夫としてどんな思いで闘病を支えたのか、話を聞きました。
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以前の職場でお世話になった男性から届いたメール
《同僚の●●から病気のこと聞きました。以前話したかもしれませんが、私の家内もがんに罹患し、11年間闘病しました。応援しています。》
以前の職場でお世話になっていたアタゴさん(仮名/45歳)からメールをいただいた。
アタゴさんとは10年くらい前からのお付き合いで、何度か飲みに行ったこともある。細身の長身で濃いめのお顔立ち。自分より10歳上のイケメンだが、カッコつけることも偉ぶることもなく、常におちゃらけキャラで場を和ませてくれる。
そんなアタゴさんだから当時、同僚たちの間でも絶大な人気を誇っていた。
「学生時代から付き合っていた奥さんがいて、めちゃくちゃ愛妻家らしい」
そんな噂を聞いたこともあった。独身だった自分は少しショックを受けたことも覚えている。
その奥さんが“がん”を患っていたうえ、2018年3月に亡くなったという。
申し遅れました。昨年11月、35歳で大腸がんステージ3を宣告されたライターの小泉なつみです。
「“がん”は死なない病気になった」「共存するものだ」みたいな話を聞くようになり、自分自身、“死”を振り払うように明るいエビデンスを積極的に浴びるようにしていました。
そこへ来ての、アタゴさんの衝撃。アタゴ・アタック。
だから本当に申し訳ないが、アタゴさんの奥さんの話によってこの病気の恐ろしさを改めて突きつけられ、内臓がフワっと浮くような感覚がした。
“死”は非日常で怖いものに思える。しかもそれに夫婦で対峙していたアタゴさんは、どんな日々を送っていたのだろう。