「文藝春秋」の特選記事を公開します。(初公開 2019年8月7日)

 昨年10月末に韓国大法院(最高裁)が下した「徴用工判決」に端を発する“日韓闘争”が激しさを増している。

 徴用工判決への事実上の報復措置として日本政府が打ち出した「半導体原料規制」と「韓国のホワイト国外し」に、文在寅政権は怒り心頭だ。韓国世論ではさらなる日本への対抗措置論が浮上しているが、その1つが現在、日韓両国で締結されている「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の破棄である。

文在寅大統領は日本を激しく批判 ©getty

8月24日に更新期限を迎えるGSOMIA

 GSOMIAとは、2016年に締結された日韓の防衛秘密の交換を円滑にするための枠組み。1年ごとに更新されるが、今年の更新期限は8月24日だ。日韓のいずれかが期限までに破棄を申告すれば、GSOMIAは終了(失効)する。

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 日本が韓国をホワイト国から除外したことを受け、韓国大統領府の金鉉宗・国家安保室第2次長は、次のように述べ、GSOMIAの破棄を示唆した。

「我々に対する信頼が欠如し、安保上の問題を提起する国と敏感な軍事情報の共有を持続するのが正しいのかも含め、今後総合的な対応措置を取る」

韓国の大統領府「青瓦台」 ©iStock.com

 では、実際に韓国がGSOMIAを破棄した場合、どのような影響があるのだろうか。防衛駐在官として韓国に赴任した経験を踏まえて分析してみたいと思う。