“反日親北”の発言で生じる“実害”
大統領就任後も、日本をダシにして、国民の支持を得ようとする姿勢は変わらない。
今年6月、文氏は自身が育った釜山にある老朽化した原発の運転停止の記念式典で「脱原発」を訴えて、こう述べた。
「日本の福島原発の事故で16年3月現在、1368人が死亡している」
根拠のない数字に仰天した日本側が抗議すると、あっさり誤りを認めた。
「この数字は東京新聞が、避難などで体調が悪くなった人を含めた関連死の数として報じたもの。韓国側は『関連、という言葉が抜けてしまった』と言い訳したものの、そもそも脱原発の実現性は乏しい。それでも大衆迎合型の政策を前面に打ち出すやり方が常套手段」(別の在ソウル記者)
だが今や、文氏の韓国大統領としての“反日親北”の発言は、国際社会で“実害”を生じ始めている。
トランプ大統領のアジア歴訪直前の3日、文氏は海外メディアのインタビューでこう述べている。
「日本が北朝鮮の核を理由に軍事大国化の道を進めば、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との関係にとっては望ましくない」
中国の「メッセンジャーボーイ」役に?
さらに北朝鮮への対応をめぐって、日米韓の緊密な連携が必要としながらも、こう言い放った。
「三国軍事同盟の水準に発展することは望ましくない」
前出の外信部記者が発言の背景を解説する。
「この直前に、文政権は中国と共同文書を発表していますが、その際に中国が一番懸念していたのが、“三国軍事同盟化”です。いわば文氏は中国のメッセンジャーボーイ役を果たした」
米経済紙『ウォールストリートジャーナル』は7日、社説で「文在寅大統領は信頼できない友人」などと書き、文大統領の「従北」「媚中」姿勢を厳しく批判した。
「国際社会が核開発をやめない北朝鮮への制裁圧力を強めている昨今、韓国の“従北媚中”の姿勢は、明らかにその足並みを乱すもの。米軍の最新鋭ミサイル迎撃システム『THAAD』の設置問題を巡っても、韓国はアメリカと中国に“二枚舌”を使って、板挟みの状態になっています。結局、文氏のなかに北朝鮮問題をはじめ諸問題をどう解決するかという大局的なビジョンはない。そのときどきの国内の空気と周囲の意見に流された発言を繰り返すだけです」(同前)
今年5月、大統領に就任した直後の文氏は、故・盧元大統領の8周忌の追悼式に出席、墓前で、こう語ったという。
「あなたの夢を追い続けて、あんなに嫌だった政治の世界に入りました。(大統領になって)あなたがどれだけ重い荷を背負っていたのかわかりました。もうここには来ません。次は大統領の職が終わり、成功したらまた来ます」
だが、文氏が大統領の職をまっとうする5年後を待たずして、再び盧氏の墓前に立つ日は、実はそう遠くないのかもしれない。
(週刊文春2017年11月23日号 原題:「現地総力取材 文在寅は韓国の鳩山由紀夫だ!」)