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口コミは“悪口”を中心にチェックする

 私が口コミをチェックする場合は1年ほどのスパン、できれば2、3年くらいにわたって特に悪口を中心にチェックするようにしている。

 この際注意しなければいけないのが、単発の怒り、つまりたまたま宿泊客の特殊な要望にホテルが対応できなかったり、従業員の些細な言動や行為に利用者が怒ったようなケースは除いていく、ということだ。意外に口コミにはこの手の苦情が多いが、こうした内容のものは無視してよい。

 逆に、継続的に指摘されているポイントは要注意である。たとえば「隣の部屋の物音で眠れない」「空調が効かない」「たばこ臭い」「シャワーカーテンが汗臭い」などといった指摘が繰り返し出てくるホテルは、まず設備の状況を疑った方がよい。

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 隣の物音はホテルの構造上の問題だから事態は深刻だ。部屋と部屋の間の壁厚が薄いというものもあれば、鉄骨造などのホテルでは鉄骨を通じて音漏れが隣ではなく他のフロアにまで伝わるケースもある。

「臭い」の指摘からは換気設備の劣化を疑え

 空調は15年もたつと更新時期を迎えるが、ホテルのオーナーの懐事情などで更新が先延ばしにされる傾向がある。なにせ空調機の更新費用はホテルのリニューアルコストでも大きくのしかかる部分だからだ。

 たばこ臭い、シャワーカーテンが汗臭いなどというのは清掃の問題もあるが、疑いたいのは換気設備の劣化だ。部屋の空気が入れ替わらないのは室内環境が良くないことを意味する。部屋に入って「カビ臭い」などというのも同様だ。部屋のカーペットや壁紙、空調機の吹き出し口などにカビがはびこり、「臭い」の原因となっているケースが多い。

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 こうした苦情は宿泊した部屋がたまたまそうだったというよりも、建物の構造上や設備上の問題に起因している可能性が高いので、どの部屋に宿泊してもあまり良い結果は得られないと考えてよい。

清掃は「繰り返し指摘されているか」がポイント

 建物自体は古くとも、入念にリニューアルされているホテルもあるから、必ずしも古いものはダメだと決めつける必要はないが、建物の老朽化は排水管などの劣化につながっている場合が多い。たとえば浴室のすえたような臭気は、浴室自体の臭気ではなく、配管から生じる臭いに起因している場合が多く、清掃の質の問題ではないともいえる。

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 清掃については特に日本人の宿泊客は拘る傾向がある。棚の上の埃や洗面室・風呂に落ちている髪の毛などの存在を指摘する投稿も多いが、これらは繰り返し指摘されていなければあまり気にする必要はない。たとえば髪の毛が1本落ちてました、などという指摘は、清掃中に漂っていた毛が1本たまたま落ちてきたなどというケースもあるし、実はその口コミを投稿している宿泊客自身の毛だった、というケースも案外多いからだ。