蘇る「崔順実ゲート」の記憶
文在寅大統領は、青瓦台にいる側近の中でもチョグク氏を最も信頼していたと言われる。そのチョグク氏から飛び出した今回のスキャンダルは「文在寅政権の存在意義」に関わる大問題になりつつある。
「娘」「不正入学」……国民たちは今、2016年に発覚した朴槿恵前大統領の「崔順実ゲート事件」を思い出している。
朴槿恵前大統領の友人である崔順実氏の娘が名門・梨花女子大学に不正入学した姿と、チョグク氏の娘が同じく名門・高麗大学に不正入学した事実が、強くオーバーラップし、「朴槿恵大統領と崔順実」「文在寅大統領とチョグク」が重なっているのかもしれない。
教育競争が苛烈な韓国において、教育における公正性の欠如は雷管に触れるのと同じくらい危険なタブーである。「崔順実ゲート事件」に韓国国民が怒り、政権が1つ消えて無くなったことを考えれば、その爆発力は誰でも想像できるだろう。
大学に飛び交うシュプレヒコール
このようなチョグク氏の疑惑にとりわけ学生たちは怒っている。8月23日夕方、高麗大学では学生と卒業生合わせて600人余りが自発的に集まり、チョグク氏の娘の高麗大学不正入学の過程の真相究明を要求する「ろうそく集会」が開かれた。
また、チョグク氏が教授を務めるソウル大学でも500人余りが集まり、娘の疑惑を糾弾する「ろうそく集会」が開かれた。さらに釜山大学の学生たちも、「ろうそく集会」を28日に開催することを決定した。大学では、このようなシュプレヒコールが飛び交った。
「チョグク教授STOP!」「法務部長官の資格なし、決断しろ!」
文在寅政権が「ろうそく集会」で誕生したことは知られている。しかし今、そんな文在寅政権に対し、学生たちが「ろうそく」を持って抗議するという事態になっている。
20代の政権支持率はもはや半分に
文大統領は2017年5月の大統領選挙期間に次のようなスローガンを掲げていた。
「機会は平等に、過程は公正に、結果は正義のあるように」
このスローガンは、特に学生や若者たちに感動を与え、多くの文在寅支持を導き出した。ところが今、チョグク氏の娘の不正疑惑は、文在寅大統領のこの言葉を、根底から覆そうとしている。
チョグク氏のスキャンダルが明るみに出てから、文在寅政権の支持率は下落している。世論調査機関・リアルメーターが8月22日に発表した調査では、前週比2.7ポイント下落した46.7%。否定的評価は2.9ポイント上がった49.2%だった。とりわけ20代は支持率が46.3%から42.6%へと下がり、否定的評価は53.8%だった。政権発足当初は80%台だった20代の支持率はもはや半分くらい減っている。