GSOMIA破棄は「チョグク疑惑隠し」との指摘も
8月22日に青瓦台が突如「韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を終了することに決定した」と発表したのは、こうしたチョグク氏のスキャンダルが巻き起こっている最中だった。
日本ではこの措置を「経済報復への対抗カード」だと捉える向きがあるが、韓国内では、「チョグク氏のスキャンダル隠しにGSOMIAカードを使った」という理解がある。例えば、野党・自由韓国党の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)院内代表は「(文在寅大統領は)チョグクの疑惑を覆うために祖国(チョグク)を捨てた」と批判した。
さらに、大手紙・朝鮮日報は23日付の社説で「“チョグク”を覆おうと、韓米日の安保協力を破るのか。国民は馬鹿じゃない」というタイトルで次のように指摘した。
「安保の考慮が最優先になるべきだったGSOMIA問題を経済的報復の対応カードとして使ったのは自傷行為に違いない。青瓦台がこのような衝撃的な無理押しをしたのは、チョグク法務部長官候補に対する世論が悪化したため、政局を転換しようとしたのではないか。(略)安保問題を利用するのは無責任すぎる。国民は馬鹿ではない」
文在寅大統領は今、重大な岐路に立っている
親文在寅派が、2022年の大統領選で「チョグク氏をポスト文在寅にしよう」という大きな絵を描いていることが、チョグク氏を守ろうとする背景にあると指摘する声もある。しかし、一般的には、これほどのスキャンダルが出た以上、チョグク氏が次期大統領になることはほぼ不可能になったと言わざるを得ないだろう。
チョグク氏は、このスキャンダルに絡み、家族が経営している学校法人と家族の投資したファンドの全額を社会に還元すると明言し、「国民の皆さんに本当に申し訳ない」とお詫びした。しかし、若年層と国民の怒りは収まらず、それどころか日々不信感は大きくなりつつある。
今後、チョグク氏の処遇をめぐり文在寅政権が政局を読み誤った判断を下せば、一瞬にしてレイムダックに陥る可能性がある。チョグク氏を救うか、政権を守るか。文在寅大統領は今、重大な岐路に立っている。
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