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「過保護ではないか」「子どもの喧嘩ですよ」……いじめ対応の記録が破棄されていた

学校側は「いじめ」を認めず、教育委員会とのやりとりも「なかったこと」に

2019/08/30

genre : ライフ, 教育, 社会

 学校での「いじめ」対応の不適切さが報道されることが多くなってきている。自殺(未遂を含む)や不登校になると、現在は、いじめ防止対策推進法で「重大事態」とされ、調査されることがある。ただ、元の資料が保存されなかったり、資料の情報が事実誤認の場合も少なくない。そのため、当事者の子どもや保護者が納得しないケースも出てくる。都内の公立小学校に通っていたAくんのケースもそうだった。母親に話を聞くことができた。

授業中に教師がいてもいじめが行われた

 母親によると、Aくんは小学校3年生後半からいじめを受けていた。内容はからかい、嫌がらせ、仲間はずれ、ものを隠される、暴力を振るわれるなど。わざとぶつかられたり、物を投げられたりすることも頻繁にあった。

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「いじめはクラスだけでなく、学年全体に広がっていたんです。遊んだこともない、通りすがりの子からもいじめを受けていました。特にひどくなったのは、5年生後半から。授業中に教師がいてもいじめが行われました。事実上、教師公認でした。この頃から、子どもの体調に影響が出始めました。いじめ対応について担任には強くお願いをしたんですが、何もしてもらえませんでした」

 母親が担任教師にお願いをしても、指導どころか、逆に「過保護ではないか」「子どもを強くしたくないのか?」と言われてしまったという。子どもが自ら「(いじめを)やめて!」と言っても、児童間のトラブルとされたために、給食を食べさせなかったり、授業に参加させないという“罰”が与えられたりした。

「子どもは被害を受け、興奮して担任に訴えたようですが、気持ちを聞いてもらえなかったようです。むしろ、排除されたような感じだったのです。そのため、心身ともに疲れていました」

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スクールカウンセラーに相談するも……

 5年生の秋、個人面談でも担任にいじめの指導をお願いしていた。母親としては「いじめられるのは自分が悪いから、という思いをさせたくない」と思っていた。Aくんも頑張ろうとしていた。しかし、逆に、授業中を含め、周囲から茶々を入れられる。学校生活が難しくなってきていた。

 6年生になった5月ごろ。Aくんが帰宅し、玄関で思い切りランドセルを投げつけ、「くそ!」と言って、涙を流すことがあった。泣いたり、わめいたり、数時間、母親が話を聞かなければ治らないことがあった。6月後半には頻繁になっていった。

 それまでにも、スクールカウンセラー(SC)に母親から、いじめのことやAくんの苦しみを伝えた。しかし、いじめが止むわけではない。学校には2人のSCがいたが、11月に相談したときには、このうちの1人に相談の途中で寝られたこともあった。