「ひとつは予測の精度。これは気象データ分析会社との話し合いの中でやっていくことになります。精度が高まればそれだけ空振りも減ることになります」
外国人観光客にどう伝えるか
現状ではゲリラ豪雨などへの的確な対応は難しい。自然災害の局地化・激甚化にどう対応していくのかも大きなテーマになってくるだろう。そしてもうひとつの課題は、「外国人観光客への告知」だという。
「おかげさまでいつもご利用いただいている日本のお客さまにはだいぶ浸透しているのですが、外国人観光客にはなかなか……。計画運休当日に駅に来てしまって途方にくれている方はまだまだいます。100%確実にお伝えするのは難しいのも事実ですが、幸い今はSNSなど活用できる情報媒体がふえているので、それをうまく使ってより広く知っていただけるようにしたいと思っています」
より精度を高めた予測と漏れのない告知。これによって、台風などの自然災害に伴う鉄道の混乱をより抑えることができるし、安全を脅かすようなトラブルも防ぐことができるのだ。
その上で、中條室長は「我々は決して計画運休を良しとは思っていません」と強調する。
「たとえば雨の規制値が50ミリのところを100ミリにあげられるように防災強度を高めていく努力は続けていかなければならないと思っています。公共交通を担う事業者である以上、できる限り鉄道を動かし続けるのが使命。ですから、世の中の理解が深まったからといって『計画運休でどんどん止めるぞ』とはならない。計画運休を少しでもしないですむような、災害に強い鉄道を作っていく、そういう設備投資をしていくことも、我々の使命なんです」
中條室長は、「お客さまの理解あってこそスムーズに計画運休ができる」とも話す。原因が台風であろうがなんであろうが、鉄道の運行がストップすれば、多くの人が迷惑を被ることは事実。とはいえ、計画運休をはじめとする“運転見合わせ”の背景には安全への意識があることは忘れてはならないだろう。