暑い夏もそろそろ終わり、秋の入り口がやってきた。となると、台風のシーズンである。たいてい、9月から10月にかけて日本列島には多くの台風が襲来し、各地に被害をもたらす。その被害の中でも、“鉄道”に絞っていうと、やはり注目されるのが「計画運休」であろう。
計画運休は、2014年10月の台風19号に際してJR西日本が初めて行った、「事前に告知した上での一定エリアの全面的な運休」。今年のお盆にやってきた台風10号でも行われている。また、昨年は台風24号でJR東日本がはじめて計画運休を実施して結果として混乱を招いたのも記憶に新しい。ともかく、台風の接近と鉄道の計画運休はいわばセットのようなものである。
台風が逸れたり勢力が弱まっても、すぐに運転再開しないのは?
が、そもそも「計画運休とは何なのか」「いったいどんな基準でどのようにして決めているのか」、そして「その目的は何なのか」。すっかり当たり前のように使われている言葉だが、案外「計画運休」についてわからないことも多い。そこで、初めて計画運休を実施したJR西日本に教えてもらうことにした。話してくれたのは、JR西日本鉄道本部安全推進部企画室の中條昭担当室長だ。
「計画運休は、弊社では例えば近畿エリアでいうと近畿圏全体で鉄道の運行を止めるようなケースで使います。基本的に2日前までには計画運休実施の可能性があることをお知らせして、最終的な判断は前日に。仮に実施日が週明け月曜日になる場合は、3日前の金曜日には可能性を示す必要があると思います」
つまり、単に一部の路線で運転を取りやめるのではなく、“全面的な運休”を“事前に告知する”ことがJR西日本のいう計画運休の要諦というわけだ。実際にはメディアなどでは異なる意味合いで使われることもあるようだが、少なくとも現時点では計画運休の“パイオニア”であるJR西日本ではこういうことになっている。朝から終日運休というケースもあれば、夕方17時以降運休するケースも考えられる。いずれにしても社会的混乱を避けるために事前に告知した上で、実施しているという。また、ひとたび計画運休を実施した場合には、台風が逸れたり勢力が弱まったからといって急に運転再開することはしない。これには混乱を避けるという目的に加えて、鉄道システムとしての事情もあるという。