茜の奮闘ぶりや苦しさはどこへ?
自分が目の前で砕かれた夢を着々と叶えようとしているなつのために、リスクが大きい乳児を預かり、その後3年以上に渡って自分の娘・明子とともに優の世話をする茜……茜さんってなんなの? そんな人いる? 仏様なの?
ドラマ内で茜の奮闘や苦しさはほぼ描かれませんでしたが、そのキツさは第三者でも容易に想像できるレベル。
皆が出かけ、誰もいなくなった部屋には乳児が2人。大人と話したくても夫の帰宅は遅いし、元同僚はバタバタとやってきて帰ってしまう。子どもは好き。本当に可愛い。でも、自分の夢をあんなに簡単にあきらめて良かったのだろうか。なっちゃんと私は一体何が違ったのかな、私はどうして必要とされなかったんだろう。またいつかアニメーションを作りたいな、そんな日はもう来ないのかな……あ、茜さんっっ(号泣)!
と、本編で描かれなかったところまで想像し、勝手に号泣したのは、茜役・渡辺麻友が登場時から積み上げてきたキャラクターの説得力と自然な演技のなせるワザ。まゆゆ、可愛いよ、まゆゆ、切ないよ。まゆゆ、アイドル時代はノーマークですまんかった。
完璧な芝居で『なつぞら』に説得力を持たせる女優・渡辺麻友
渡辺麻友といえば、言わずと知れたアイドルグループ・AKB48の卒業生。2007年の劇場公演デビュー以来、着々とグループ内での存在感を示し、2009年の第1回AKB48選抜総選挙では4位、翌年の第2回総選挙では5位と順位を落とし、涙ながらに「この現状には満足していません」とコメント。2014年の第6回総選挙で初の1位を獲得します。
その後、2017年にAKB48を卒業し、おもに女優としての活動をスタートさせて、主演舞台や主演ドラマを経ての『なつぞら』茜役。AKBではつねに1位を目指し、1位にこだわった“まゆゆ”が、女優としても役柄としても主演を支える立場のポジションで完璧な芝居を魅せる妙。茜の芯は強いが我は強くないというキャラクターを真っ直ぐ演じる彼女の空気感が『なつぞら』に説得力を持たせているのは間違いないと思います。