「一家の稼ぎ頭でないと格好悪いけれど、家事や育児の能力も求められる」――日本では男女の不平等が根強く残る一方で、幸福度の男女間格差が大きい。そんなことが最近の調査で分かってきた。

 21世紀に入って男性1人の稼ぎで一家を養うことが難しくなってきており、共働き家庭も当たり前になった。当然のように「求められる男性像」も変化している。そんな時代に男の子を育てる親はどのように子育てを行なえばよいのか?

 新刊「21世紀の『男の子』の親たちへ」で男子校のベテラン先生たちを取材、男の子の親として心得ておきたいポイントを紹介したおおたとしまささんが、男の子たちが置かれた状況をレポートする。

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男性のほうが活躍の場が多いのに、幸せ度は低い

 男女の社会的境遇格差を表わす有名な指標に「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」があります。健康、教育、政治、経済の分野での各国の男女格差を数値化したものです。「世界経済フォーラム」が毎年ランキングを発表しており、日本は常に下位に甘んじています(図1、2)。健康と教育では男女がほぼ平等ですが、経済と政治の分野では特に差が大きい。

※『21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス』より引用
※『21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス』より引用

 これを見ると、日本が男性優位の社会であることは明らかなのですが、一方で、「世界幸福度調査」によると日本は世界で最も幸福度の男女間格差が大きい国でもあります。男性よりも女性のほうが幸福度が高く、その差が世界一なのです(図3)。2005年から2010年にかけてこの差が広がりました。

※『21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス』より引用

 社会的な活躍の場は女性よりも男性に多く用意されているはずなのに、幸せを感じる割合は男性のほうが低い。ねじれ現象です。

 2005年から2010年は、「イクメン」という言葉が市民権を得た時期です。2010年の流行語大賞にも選ばれています。これは喜ばしいことではあるのですが、現実的な男性たちの立場からすれば、従来の労働者としての責任に加え、家事や育児の責任も増えたということができます。