消費税法の改正に伴って10月1日から導入される軽減税率制度により、10%と8%、2つの税率が混在するようになります。カテゴリによって明確に分かれているならまだしも、「みりん風調味料」は8%なのに「みりん」は酒類扱いで10%だったり、また店内飲食とテイクアウトで税率が異なるなど、その分かりにくさが混乱を招きつつあるのは、ご存知のとおりです。
もっとも、いちばんの被害者と言えるのは、これらをその場で計算し、客に説明しなくてはならない飲食業の人かもしれません。また今回の消費税率変更は、10月という期半ばで行われるため、年明けの確定申告では新旧2つの税率を使い分ける必要があったりと、飲食業に関係する人に限らず、広い範囲に影響が及ぶことが予想されます。
こうした、面倒で分かりづらい税率計算の強い味方となるのが、軽減税率への対応をうたった電卓です。2つの税率に対応するための専用キーを搭載するほか、税込価格・本体価格・税額という3つの金額を切り替えて表示できるなど、消費税にまつわるややこしい計算をサポートしてくれます。
今回は、いま続々と登場しつつある「軽減税率対応電卓」の選び方のポイントを、カシオとシャープの2社に聞きました。質問に答えてくれたのは、カシオ計算機株式会社広報部の木村舞さんと、シャープ株式会社国内スモールアプライアンス事業部パーソナルソリューション企画開発部の小湊和則さんです。
消費税電卓、これまでのキーだけでは足りなくなる!
消費税導入後に発売された電卓の多くは、消費税の計算機能を搭載しています。「税込」キーを使えば税込の金額を、「税抜」キーを使えば消費税を省いた本体価格を表示してくれますので、消費税を扱う計算では大変重宝します。
もし従来の3→5%、5→8%のように、単純に税率が変更になっただけであれば、わざわざ電卓を買い替える必然性はそれほどないと言えます。「税率キーが搭載されているモデルに関しては、税率の変更設定が行える」(カシオ木村さん)からです。
しかしこの10月から導入される軽減税率では、8%と10%という2つの税率が混在するようになるため、1つの税率キーでは足りなくなります。これに対する電卓メーカーのアプローチは単純明快、「2つの税率キーを搭載する」というものです。
「2種類の消費税率を使いやすくするための、使用頻度の高い8%と10%税率を計算できる専用キー、および税込/税抜を1回のキー操作で計算できる専用キーが必須になるとみています」(シャープ小湊さん)
カシオとシャープ、両社から発売されている軽減税率対応電卓は、いずれも2つの税率キーを搭載しています。例えば100円の品物があったとして、シャープ製品では「1」「00」のあとに「10%」を押せば消費税10%の税込価格を、「8%」を押せば消費税8%の税込価格を表示してくれます。カシオは「10%」「8%」の代わりに「税込1」「税込2」というキーを搭載しており、こちらも操作方法はほぼ同じです。
また、「1」「00」「8%」のあとに「+」を押し、続いて「1」「00」「10%」を押すと、税率が異なる2種類の商品の合計金額を出すことができます。ほかにも「税率8%の商品5個と、税率10%の商品10個の合計金額」といった複雑な計算にも対応します。