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皇室の財務は厳格。「現金返還」に至ったケースも

「皇室の財務については皇室経済法とその施行法でさらに細かく規定されています。皇室の費用には天皇と内廷皇族の御手元金に充てられる内廷費、宮家などの内廷外皇族の御手元金に充てられる皇族費、皇室の公的な交際費や施設整備費などに充てられる宮廷費の3種類がありますが、いずれも原資は国民の税金です。

 自由にできる御手元金といえども、好き勝手に浪費していいものではありません。それだけ皇室の方々は高尚なまでの経済感覚を求められるのです。その親族となろうとする方にも、当然そういった感覚は求められるはずです」(同前)

ニューヨークのフォーダム大学に留学中の小室圭さん ©共同通信社

 1995年には、「宮杯」などと冠した競輪などのレースの開催の謝礼として、地方自治体などが高松宮家と寬仁親王家に現金を贈っていたことが発覚し、高松宮家は競輪「高松宮杯」(現・高松宮記念杯)と競艇「高松宮記念」の謝礼として大津市・近畿自転車競技会・滋賀県・大阪競艇施行者協議会から受け取っていた計1億2275万円を全額返還し、寬仁親王家も競輪「寬仁親王牌」の謝礼として前橋市と関東自転車競技会から受け取っていた計2200万円を全額返還する事態となった。

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ボリビアを訪れられた眞子さま(7月18日) ©共同通信社

「皇室経済法とその施行法では、私的経済行為や外国交際の儀礼上の贈答などを除いて、年間に160万円を超える現金を成年皇族が譲り受ける時には国会の議決が必要と定めています。この問題では、『皇室経済法に基づく国会議決を受けていない以上、謝礼の授受自体が無効』というロジックで、『預かった資金なので返還する』という処理が行われました。皇族が違法な金銭授受を行っていたという悪しき“前例”をつくらないために、当時の藤森(昭一宮内庁)長官を中心にひねり出されたロジックでした。それだけ皇室には金銭面でも清廉潔白さが求められるのです」(同前)