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大船渡・佐々木登板回避問題 なぜダルビッシュ有は議論と提言を続けるのか?

やはり彼は甲子園を愛する、高校野球改革の中心人物だ

2019/09/10

 この夏、ある地方球場で高校野球界を揺るがす出来事が起こった。

 7月25日。

 全国高校野球選手権・岩手大会決勝戦。

 35年ぶりの甲子園出場をめざしていた県立大船渡高校は、私立の強豪・花巻東とのゲームで、今年のナンバーワン投手と言われる最速163kmのエース佐々木朗希を登板させなかった。勝てば甲子園という試合にエースで4番の大黒柱を試合にすら出さず、2—12という大差で敗れた。

 準決勝から2連投となる投手の肩肘を、甲子園より優先させた。そういう学校が、そういうチームが、そういう指導者が現れたのだ。

大船渡高校の佐々木朗希選手 ©山元茂樹/文藝春秋 

「佐々木登板回避問題」の中心にいたダルビッシュ

 このニュースは瞬く間に全国へと広がり、デジタル、アナログを問わず議論となり、やがて高校野球を取り巻く空気を劇的に変えることになった。

 そして、この一連の流れには中心となる登場人物が3人いると、個人的には思っている。

 大船渡のエース・佐々木朗希と、監督の國保陽平、そして米大リーグ、シカゴ・カブスのダルビッシュ有である。

シカゴ・カブスのダルビッシュ有投手 ©共同通信社 

 マウンドに立てなかったエースと、その決断を下した指揮官は当然だが、この問題について議論が拡散していったのはダルビッシュの発言による影響が大きいと感じたからだ。

張本勲氏に反応した“シェンロン・ツイート”

 まず彼は、この決勝戦についてのニュースを受けて「これほど全国から注目されている中で、佐々木君の未来を守ったのは勇気ある行動」と報道陣にコメントしたのを皮切りに、3000本安打の張本勲氏がテレビで「絶対に投げさせるべきだったんですよ。(中略)怪我を怖がったんじゃ、スポーツやめた方がいいよ。みんな宿命なんだから、スポーツ選手は」と語ると、大御所の発言に反応し、ツイッターにこう綴った。

ダルビッシュ有投手のツイート

《シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う》

 とりわけこの“シェンロン・ツイート”の反響は大きく、地方大会決勝で投じられた一石を、ひとつのニュースにとどめることなく波紋を広げていく――彼が望むと望まざるとに関わらず――役割を担った。