こうしたツイッター上でのやり取りを経て、記者は“白旗”を上げる。
《君との議論は実に楽しい。すべてのアスリートが、君みたいに議論ができると楽しいのだけれど。また、こうした議論ができることを望んでいるよ》
これを受けて、通称YU-SANは歓迎の意味を示す絵文字とともに返信した。
I'm waiting on the ring David🥊🔥😆 https://t.co/teMcANS14o
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) August 22, 2019
《いつでもリングで待ってるよ!》
監督も地元マスコミも認める“ディベート力”
翌日の昼前、デーゲーム前のクラブハウスでは貫禄たっぷりの白ひげをたくわえたジョー・マドン監督が微笑んでいた。
「彼は正直で、素晴らしいよ」
ダルビッシュが記者と論争を繰り広げたということについて指揮官に質問したのは、地元の大手新聞社で長くカブスのビートライター(番記者)を務めた人物だった。
おそらく彼らの関心を惹きつけたのは、その日のゲームで相当なエネルギーを使い果たしたであろう先発投手が登板後の夜に、ある第三者のひとつの意見をスルーすることなく、議論を挑んだことについてだろう。
ワールドシリーズ制覇の名将も、ダボダボのジーンズがトレードマークの地元マスコミの“顔”も愉快そうに笑っていた。
まったく、ユウ・ダルビッシュはなんて奴なんだというように。
ダルビッシュの日常は議論とともにあった
その光景を見ていて、彼が大船渡・佐々木の登板回避に関する一連の論争で取った言動について――つまり彼が常にその議論の発火点となっていたことについて――どこか腑に落ちるところがあった。
メジャーリーガーとしてのダルビッシュの日常も議論とともにあったからだ。
数日後、さらに熱を帯びる首位争いの中で先発陣の中心として役割を果たすべく、ゲーム前に次から次へと自らが決めたコンディショニング、調整を進めていく合間、つかの間だが、高校野球について話すことができた。