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大船渡・佐々木登板回避問題 なぜダルビッシュ有は議論と提言を続けるのか?

やはり彼は甲子園を愛する、高校野球改革の中心人物だ

2019/09/10

 ちょうど、日本で夏の甲子園・決勝戦が行われた8月22日(アメリカでは21日)、ダルビッシュはシカゴ・リグレーフィールドのマウンドに立っていた。

 ナ・リーグ中地区の首位争いを繰り広げているチームの鍵を握るスターターは、この夜、MLB史上初めてとなる5試合連続無死球&8奪三振以上という快挙を成し遂げるとともに、自己ワーストの4被弾を浴びた。

米放送局の記者ともツイッターで議論

 賞賛と非難が相半ばするようなゲームの後、中央のソファを囲むように赤と青と白のカブスカラーで彩られたラグジュアリーなクラブハウスの一角で――チーム内での序列の高さを示すように、彼のロッカーはメジャー通算200勝へと近づく大御所ジョン・レスターの隣であった――、ダルビッシュはまず英語で地元メディアに対応し、その後、日本メディアに対応した。

 それが23時くらいのことだったから、もう日付が変わろうとしている頃だったかもしれない。NBCスポーツ・シカゴという放送局の記者がツイッターで配球面を指摘したのだ。

北海道日本ハムファイターズ時代 ©杉山秀樹/文藝春秋

《有はあまりにもわかりやすい》

 このゲームでは2ストライクと追い込んでから3被弾したのだが、今シーズンは追い込んでから80%ほどの確率で変化球を投げており、この日も3本すべてが変化球であり、偏りがあるのではないか、なぜ打たれる確率が低い速球で勝負しなかったのか、と記者は自らのデータとともに指摘したのだ。

「あなたのデータは間違っていますよ」

 すると、それに対してダルビッシュはすぐさま自分もデータを示して、返した。

《あなたのデータは間違っていますよ。カブスのデータベースには勝てませんよ》

 列記されていたのは、カブス球団のデータベースに基づいた数字で、記者の指摘とは逆に2ストライク後に変化球を投げた場合の被打率の低さが示されていた。