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 9月6日、世論調査会社「韓国ギャラップ」が恒例のウイークリーレポートで初めて次期大統領候補者の支持率を掲載したが、そこに曺国法相の名前が登場したのだ。

 次期大統領候補1位は李洛淵現国務総理(21%)で、2位は自由韓国党の黄教安同党代表(14%)、3位は、17年の大統領選の際、歯切れのいい発言で思いがけず人気を集めた李在明現京畿道知事(8%)、そして、4位に曺国法相(6%)が続いた。

 候補者は、8月最終週に予備調査をし、上位10人をさらに9月第1週に調査したものとされている。つまり、疑惑を巡る騒ぎがピークだった頃の調査となる。

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「曺国はこれで有名になった」

 この中で3位となった李在明知事は9月6日、係争中だった公職選挙法違反などの嫌疑が2審で有罪となり、300万ウォン(約27万円)の罰金が宣告された。公職者に100万ウォン(約9万円)以上の罰金が科せられた場合、当選は無効となり、被選挙権を喪失するため、上告審で刑が確定すれば、知事職は失われ、大統領選挙の予備選には出馬できなくなる。すでに、大統領候補レースから外れたとも囁かれ、そうなると、今後曺国法相が上位に食い込む可能性もないとはいえない。

 調査を見て思い出したのが、8月に会った進歩派の人物の言葉だった。曺国前秘書官の法相任命について話を訊いた際、あまりにも予想外の発言だったので、そんな見方もあるのかと驚いたのだが、こう語っていた。

「曺国はこれで有名になった。これで、全国区になった」

©iStock.com

 当時は、疑惑を巡り世論の反発が盛り上がっていた頃でもあり、そんな渦中の人物が法相、ひいては国会議員になどなれるだろうか、世論を甘く見過ぎていると返したが、まったく意に介してなかった。その人物も文大統領と同じように「本人が何か違法行為をしたわけではない」と言い切っていて、「来年4月の総選挙で曺国を国会議員にするのでは」と話していた。

#MeTooで次期大統領有力候補の実刑が確定

 曺国前秘書官が法相に任命された9日午前、もうひとつ”事件”があった。

 かつて次期大統領候補ともいわれた安熙正前忠南道知事が前随行秘書への性暴行の容疑で係争中だったが、その上告審で3年6カ月の実刑が確定した。

 安前知事は韓国で大きな#MeToo運動の波が起きたさなかの18年3月、前随行秘書の告発により起訴され、1審は無罪とされたが、2審で3年6カ月の有罪となり、控訴していた。