あちこちで「ぼっち」な姿を写真に撮られているキアヌ
ジョン・ウィックがいつも悲しげなのは、1作目の冒頭で妻を病で失ってしまったからだが、キアヌ自身もいつも悲しげだ。
2010年には公園のベンチで一人寂しくパンを食べる姿がパパラッチされた。その姿はコップのフチ子さん的なフィギュアとして発売された。
それ以外にもキアヌはあちこちで「ぼっち」な姿を写真に撮られている。
キアヌはかつては陽気な若者だった。『ビルとテッド』シリーズでは、友達役のアレックス・ウィンターと二人でバカな高校生を演じ、「オーサム(すげー)!」「エクセレーント(超すげー)!」と楽しそうに叫んでいた。
でも、1993年、サンセット・ストリップにあるライブ・ハウス、バイパー・ルームでキアヌの親友、リバー・フェニックスが23歳で麻薬のオーバードースで亡くなった。その4年後、バイパー・ルームの裏の駐車場でキアヌがホームレスのおじさんと地面に座り込んでしんみり酒を酌み交わす姿が目撃された。
1999年、『マトリックス』がメガヒット。恋人も妊娠して、幸福の絶頂に見えた。しかし、その年の暮れに長女は死産。いたわりあった恋人も1年ほど後に交通事故で帰らぬ人となった。ジョン・ウィックの悲しみは本物だったのだ。
そして『マトリックス』の続編が2本まとめて作られた。キアヌは興行収益の数パーセント、金額で数十億円を受け取るはずだったが、それを放棄し、SFXやスタントなどの裏方さんにすべて分配した。彼にとって金などどうでもよかった。表舞台からしばらく消えて、白血病で死を宣告された妹の看病に専念した。
妹さんは奇跡的に完治した。キアヌは感謝を込めて、ほとんど全財産をがん治療の研究財団と、小児がん患者の支援団体に寄付してしまった。
ハリウッド・スターには珍しく豪邸も持たずにホテルに住み、運転手も持たないキアヌはバイクでハリウッドを走り回っていた。
「彼がいなければ今の私はなかった」