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『おっさんずラブ』続編批判からあいトレ凸電まで 高度「神対応」社会が広がる日本

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

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「ガラケー女」「渋子スマイル」2019夏で話題になった2人の女性

おぐら 今年の夏は新しい女性のスターも登場しました。彼女の着ていたウェアも話題になって。

速水 あ、あれね。例のガラケー女?

おぐら 違います。あおり運転の事件も確かに話題になりましたけど。

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速水 常磐自動車道の路上で後方の車を停車させて、降りてきた男が運転席の窓越しにガンガン殴りつけたのをガラケーで撮影していた女性じゃなくて?

おぐら その女性は別にウェアは話題になってないでしょう。ゴルフ界の新星、渋野日向子ですよ。20歳で全英女子オープンに優勝して、一気にスターになりました。
 

 

速水 “渋子スマイル”のほうね。あれは抜群のパンチ力だった。あ、パンチといっても、あおり運転事件の話じゃなくて、ドライバーの飛距離の話。

おぐら 話題性からいっても“渋子スマイル”は今年の流行語大賞ノミネートは間違いなさそうです。

速水 だからといって、ファンやメディアが本人にスマイルを要求するのは行き過ぎだと思うけど。

おぐら ギャラリーとのハイタッチも話題になりましたが、ケガのリスクがあるということで、次の大会からは子ども限定にしましたね。

速水 今後はガラケーでの撮影にも応じないと。

おぐら ガラケーとか関係なく、撮影は子供でもダメです。

話題をさらった「あおり運転」に群がる意外な人たち

速水 またあおり運転に話を戻すと、常磐自動車道の事件は車載カメラのパンチ動画で一気に拡散したけど、愛知の東名高速のエアガン男っていうのもあった。

 

おぐら 盗難車でナンバーまで付け替えて、ネットで知り合った同乗女性を置いて逃げて逮捕状が出た事件ですね。

速水 車の事件では、ちょっと前まで高齢者のアクセル踏み間違いが最大の社会問題だと言われていたのに、ここへきて40代のDQNたちがどうしようもないっていう風潮が大きくなってる。

おぐら 40代はヤンキー漫画で育った世代で、ワルい=カッコいいと思う文化があるからじゃないかって指摘もあります。

速水 うーん、たしかに『ビー・バップ・ハイスクール』、『湘南爆走族』、『ろくでなしBLUES』、『カメレオン』、『特攻の拓』、『今日から俺は!!』とかで育ってはいるけど、そういう問題じゃないでしょ。

おぐら でも今の30代、20代になればもっと、ワルい=かっこいいっていう感覚は薄いと思いますよ。不良に憧れる層も減っているのでは。

速水 わかる気もする。でもさ、この問題、もう次の段階に行ってる。ネット動画の世界で、あおり運転動画関連へのアクセスが多いのを見込んで、あおり運転を誘発させる人たちがいるって。

おぐら あおり運転をあおるYouTuber……最悪ですね。

速水 怒らせようと、わざと右レーンをゆっくり走って前方を塞いでブレーキをかけたりするやつが出てきているんだよ。もちろん、それは動画を公開するためにやってる。これが本当だったらかなり悪質。みんなの“わかりやすい悪者を見たい”を見たいっていう願望がこうした状況を生み出しているってこと。