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自宅で首を絞めて殺した……

 実は、その男が帰国する直前、日本ではある女性が行方不明になっていました。しばらくして、その女性は河川敷で白骨化した遺体となって発見されます。何者かによる殺人でした。その事件について、強盗容疑で逮捕された男が「私が犯人です」と、中国で自白をしたのです。

 自宅で首を絞めて殺した。遺体は河川敷に運んで捨てた……。男はこのように供述しました。ここで重要なのは、「自宅」とは彼が日本で住んでいた団地のことを指す点です。その部屋には先述の通り、数年前から新たな住人が住んでいました。その住人にとってはある日突然、慣れ親しんだ自宅が殺人事件の現場という“事故物件”になってしまったのです。

※写真はイメージです ©iStock.com

 その事実は、男が自白するまで不動産屋も知りませんでした。知らないことを事前に告知することはもちろん不可能ですから、業者に非はありません。こうして、「誰もそこが事故物件だと気づいていなかった」という、特殊なケースが生まれたのです。とはいえ、犯人の男だけは全てを知っていたわけですが……。

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遺体を埋めた意外な人物とは?

 同様のケースで、数年前には関西地方のある民家の敷地から、住人とは全く関わりのない女性の遺体が発見されたこともありました。この事件で捕まったのは、なんとその家の建築工事に携わっていた男でした。男は自宅で妻を殺害した後、当時はまだ建設中だったその民家の敷地を遺体の隠し場所に選んだのです。

※写真はイメージです ©iStock.com

 念願のマイホームを建てていたら、工事関係者が勝手に遺体を埋めていた――。これもまた、知らない間に自宅が事故物件になっていた不幸な例です。

 一方で、事故物件だと知って入居したものの、その後にさらなる悲劇が待ち受けていた、というケースもあります。「関西最恐の事故物件はどこですか?」と聞かれたとき、私がすぐに思いつく物件も、まさにその事例に当たります。