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五郎丸のポジション・フルバックの役割の変化
ポイントとなるのが、五郎丸のポジション、フルバックの役割の変化である。15番を背負うフルバックは、チームの最後尾に位置し、ディフェンスでは最後の砦となり、チャンスでは攻撃にも参加する。
五郎丸がフルバックとしての能力を見せつけたのは、前回W杯のスコットランド戦である。
後半に連続トライを奪われ、日本代表は大会で唯一の黒星を喫したが、前半終了時点で7対12。強豪と接戦を演出したのが、五郎丸のプレーだった。
前半終了間際、スコットランドが猛攻を仕掛けた。ボールがサイドライン際に走り込んできた快足のトミー・シーモアにわたる。観戦する誰もがトライを確信した。しかし――。最短のコースで走りこんできた五郎丸が、ゴールライン間際で強烈なタックルを見舞って、トミー・シーモアを弾き飛ばしたのだ。
まさに最後の砦と呼ぶにふさわしいプレーは、前回W杯のベストタックルのひとつに数えられた。
だが、近年、世界的にラグビーの潮流が変わった。組織的なディフェンスが進化した結果、パスを回すだけで相手ディフェンスを破るのが難しくなり、キックを多用するようになったのだ。