1ページ目から読む
3/4ページ目

ヘッドコーチ交代にともなって、日本代表の戦術も一変

 それは日本代表も例外ではない。エディー・ジョーンズからジェイミー・ジョセフへ。前回W杯後のヘッドコーチ交代にともなって、戦術も一変した。

 エディージャパンは、日本代表の強みであるスピードを活かすためにパスとランを中心に攻撃を組み立てた。ロングパスを禁止し、相手を引きつけて短いパスをつなぐ。攻撃のキーマンのひとりが185センチ、100キロの大型フルバック五郎丸だった。

エディー・ジョーンズ氏 ©文藝春秋

 また、エディーはキックに頼らないチーム作りを一貫して進めてきた。陣地を取り戻すロングキックは蹴るが、ボールを高く蹴り上げて相手にプレッシャーをかけるハイパントはほとんど使わなかった。

ADVERTISEMENT

 反面、現ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフは、世界的な主流であるキックを多用する戦術を採用してきた。まず相手の背後にボールを蹴りこんで、アンストラクチャー(ディフェンスの陣形が崩れた状況)をつくり出す。その後、相手の混乱に乗じてボールを奪って攻め込む作戦だ。

ジェイミー・ジョセフ氏 ©文藝春秋

 キックを主体とした戦術が広まった影響で、フルバックにはこれまで以上に相手のキックを警戒し、広いエリアをカバーする機動力――モビリティが求められるようになる。

 1986年生まれの五郎丸は現在33歳。一般的に瞬発力や反射神経、俊敏性は10代半ばから発達して20代半ばでピークを迎えると言われている。スピードの衰えがあらわれる年代である。

 同学年の堀江翔太や38歳のトンプソンルークも日本代表に選ばれたが、彼らは経験やフィジカルがより重視されるフォワードのプレーヤーだ。