韓国大統領府はわざわざ、この「バッハ発言」を喜々として国内に向け発表。東京オリンピックで「朝鮮半島の南北が脚光を浴びたい」という文大統領の意気込みが伝わってきた。
北朝鮮との和解、朝鮮半島の平和を切望する文大統領としては、東京オリンピックへの南北合同チームを結成しての参加は、政権最大の政策課題の一つなのだ。
歯止めが利かない「内なる反日」
しかし、文大統領が描く「平和の祭典」の舞台に、水を差す動きが韓国で進んでいる。放射能問題を持ち出して、ボイコット運動にも火が付きかねない状況なのだ。
与党「共に民主党」の「日本の経済侵略対策特別委員会」(崔宰誠委員長)は9月26日に、東京オリンピックで使われる競技施設周辺での放射性物質の検出量を示す“放射能汚染地図”を公表した。日本の市民団体が公開した資料を基に作成されたこの地図には、福島第一原発や聖火リレーのスタート地、野球・ソフトボール会場となる福島県営あづま球場などが明記されている。
崔委員長は記者会見で「日本の汚染水の放流が騒動になっているため、日本全域の水産物は東京オリンピックの選手団だけでなく、オリンピックの訪問客全員に影響することになる」と指摘。
さらに、同じ会見で「日本の経済報復によって、日本国民に損失が及ばざるを得ない。そういうことを安倍首相がしていると立証されている。安倍政権が今からでも韓国への経済侵略をやめることが、日本国民のためになる」と主張、福島第一原発事故によるオリンピックへの影響を訴えることで、日本による韓国への輸出管理厳格化に対抗しようという思いを隠さなかった。
さらに韓国政府も、東京オリンピックと放射能を結びつけた対日批判を国際舞台で展開している。
9月16日にオーストリア・ウィーンで開かれた国際原子力機関(IAEA)年次総会で福島第一原発での放射性物質を含む処理水の処分をめぐり、韓国科学技術情報通信省の文美玉第一次官は「原発汚染水の海洋放出が決定した場合、全地球的な海洋環境に影響を及ぼし得る重大な国際問題だ。福島原発汚染水の処理問題が全世界的に不安感を増幅させている」と主張した。
韓国政府は「処理水」を「汚染水」と言い続け、世界に向けて不安をあおるかのように国際会議の場で訴えたのだ。このような韓国政府や与党の姿勢に、市民団体やメディアが便乗し、ネガティブキャンペーンを展開し始めている。まるで水を得た魚のようだ。