「不当な経済報復に相応の措置を断固取る。真っ向対応する方法がある。日本も大被害を甘受せねばならない」

 日本政府が韓国を「ホワイト国」リストから除外する措置を閣議決定した8月2日、韓国の文在寅大統領はこのように語って、怒りを露わにした。

 いま、その報復が次々と形になりつつある。

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 韓国の「ホワイト国」リストから日本を除外したことをはじめ、すでに韓国政府が打ち出してきた「経済措置」は、日本が輸出管理厳格化で打ち出した措置の数を上回っている。そして、韓国政府関係者さえも「そこまでやるのか」と驚いていた日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定。8月25日には、韓国海軍が竹島での軍事訓練を始めた。

 だが、さらにもう1つ、文大統領の言う「真っ向対応する方法」の中心になりつつある政策がある。それが福島第一原発をめぐる「放射能カード」だ。

「光復節」式典で演説する文在寅大統領 ©共同通信社

文在寅が始めた「放射能問題狙い撃ち」

 福島第一原発の問題について、韓国政府が8月に取った措置や動きを振り返ってみよう。 

8日 ほぼ全量を日本から輸入する石炭灰の放射性物質の検査強化を発表

13日 韓国外務省が福島第1原発の処理水の情報公開を日本に求め、「国際機関や(処理水放出で)被害を受ける可能性がある国と緊密に協力する」との方針を表明

16日 韓国環境省が日本からの廃プラスチックなどリサイクル用廃棄物を輸入する際、放射性物質と重金属の検査を強化することを発表

19日 韓国外務省の権世重・気候環境科学外交局長が在韓国日本大使館の西永知史公使を呼び、福島第1原発の放射性物質を含む処理水に関して、海洋放出計画の有無の事実関係確認や今後の処理計画などについて、日本政府の公式回答を要求

20日 東京都内での東京五輪関連の会議「選手団団長セミナー」に出席した韓国オリンピック委員会代表者が、福島産の食材の安全性について懸念を表明

21日 韓国食品医薬品安全庁が日本産の一部の加工食品や農産物など計17品目に対する放射性物質の検査について、23日からサンプル量と検査回数を2倍に強化すると発表

 韓国はこのように立て続けに、福島第1原発の放射能問題に関与し始めているのだ。