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“放射能汚染地図”が公表されたのと同じ日、韓国大統領府近くの広場では、大学生らが集会を開催。「福島原発からの放射性物質による選手らへの影響が危険だ」と訴え、東京オリンピックのボイコットを韓国政府に要求したのだ。

「東京オリンピックをボイコットせよ」との主張は決して大勢ではないが、一部で燻り続けている。しかも、政権与党の議員、さらには文政権の支持層である若年層や左派が、火を付けて回っている。東京オリンピックでの南北統一チームを実現させたい文大統領としては、厄介な問題なのだ。

韓国大統領府近くの広場で、東京五輪ボイコットを訴える学生ら(9月26日) ©共同通信社

北朝鮮も「韓国との対話拒否」

 また、「旭日旗」をめぐる問題も盛り上がりを見せ始めた。

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 韓国文化体育観光省は9月11日、IOCのバッハ会長にあてた書簡で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が旭日旗の競技場への持ち込みを禁止しない方針を示したことに「深い失望と憂慮」を表明。さらに「旭日旗使用の不当性」を訴え、使用禁止措置を要請した。

 以後、韓国国内ではオリンピック競技場への旭日旗持ち込みに反発する動きが、市民団体、政界、メディア、学者らの間で一層目立っている。

「日本帝国主義のアジア侵略戦争時に使われた日本軍の旗で、現在も外国人に対する差別や嫌悪の集会などに使用されている」(朴良雨文化体育観光相名義でのバッハ会長への書簡)

「ナチスのハーケンクロイツ(カギ十字)が欧州に第2次大戦の悪夢を思い出させるように、旭日旗は日本の侵略を受けた韓国や中国、東南アジアなどに歴史の傷を想起させる明白な政治的象徴だ」(同前)

 こうした韓国政府の“お墨付き”は、日本を攻撃しようと手ぐすねを引いていた人を勢いづけている。このままでは、韓国はオリンピックの場で日本を場外に引きずり出し、南北融和を演出する平和の祭典とには程遠い、乱闘を展開しそうな情勢なのだ。

 実は、北朝鮮は今年2月に南北合同チームの結成を合意しながら、その後韓国との対話拒否に転じていて、いまだ東京オリンピックに関する協議は進んでいない。

 東京オリンピックは、文大統領にとって、しばらくは頭痛の種となりそうだ。

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