試合前のオッズは日本勝利が「10倍」
――イギリスのブックメーカーは日本勝利のオッズが10倍、アイルランド勝利が1.07倍と設定していたそうです。
「裏を返せば、アイルランドに対しては10回やって、1回勝てるくらいの力差にはなっていたということです。前回の南ア戦は100回に1回勝てるかどうかというぐらいのとてつもない差がありましたから」
――試合前にアイルランドは世界ランクで2位(1位はNZ)でしたね。
「この数年アイルランドの強化がすごく上手くいっていて、昨年はほぼ負けなかった。欧州6カ国対抗で優勝しヨーロッパ王者になり、NZにも勝った。もともとワールドラグビーはアイルランド、ウェールズとスコットランドが1886年に国際ラグビーフットボール評議会を作ったのが始まりなので、『古豪中の古豪』という存在ですね。
そして今まさに実力のあるチームですから、日本がそこに勝ったことはやはり『驚き』ではあるんですね」
――強い古豪に新興チームが勝った。
「相撲で言えば、前頭筆頭が横綱に勝ったような、ボクシングで言えばミドル級がヘビー級を倒したような感じでしょうか。ミドル級のボクサーが動き回ってかく乱して、ときどき効果的なパンチを当てる、日本はそういうスタイルで戦いました」
――なぜ日本はアイルランドに勝てたのでしょう?
「一番は『よく練習したから』なんです。時間をかけて練習して、技を磨いて、ミスなくボールをつなぐ。ディフェンスでも大きな選手に2人でタックルして、そしてタックルしたらすぐ立ち上がる、というのをひたすら80分繰り返せたからです」
――ラグビーの日本代表は、サッカーなどに比べても代表合宿期間が長いですよね。
「今年に関して言えば、チームは2月から始動して8カ月間、基本はずっと行動を共にしてきました。もちろん合間に休みを取って、選手の入れ替えもあるんですけど」