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銃を持つ猟師が減っている

 また、最近問題の豚コレラも地域に影を落としている。地域には狩猟した獣を加工する加工場があるが、現在は獲られたイノシシは豚コレラ問題で流通しにくくなっている。

 そしてなにより、獣が問題になる中で、猟師、特に銃を持つ猟師が減っていることをご主人は心配している。地域の高齢化の影響もあるという。

集落の近くにあるクルミの樹で見つかった「クマ棚」。ツキノワグマが餌を食べるために枝を折り、それを座布団のように敷くことでできる

「山に住んでいる人で、オリ(注:わな猟免許)を取る人が全国的に増えています。石川県も銃猟免許持つ人が700人くらいしかいなかったんですよ。だんだん減ってきて、600台になった時は、全国で下から3番目。銃免許を取っている人はだんだん少なくなっていって、反対にわな免許を取る人は増えました。

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(能登半島の先端にある)珠洲市で銃を持っている人は、1桁ですよ。すごく少ない。その方も忙しいんですよ。オリにかかった奴の止め刺しをしなきゃいけない。電気ショックが効かないほど大きいイノシシが捕まると、オリを仕掛けた人は銃を持っている人にお願いしなければいけない。だから、ほとんどの人は銃とワナ免許を一緒に取るんだけど、銃は厳しいんで、皆さんワナだけ免許を取る。年間に何万頭ですからね、イノシシ……」

親子での狩猟はコミュニケーション

 銃猟免許と銃取得の厳しさもあって、獣害問題が深刻化しているにも関わらず、銃を持つ猟師は減少傾向にある。だが、そんな逆風の中にあって、岩間山荘の2人のご子息も銃免許を取得して猟師になり、週末には獣を獲っているという。また親子で狩猟に行くこともあり、親子のコミュニケーションにもなっていると語る。

豊かな自然に恵まれた白山の山々

「僕もそんなに立派な人間じゃないけど、銃を持っていたら悪いことはしないって。山からの教えや、ありがたい心が生まれて学ぶことがいっぱいで、できないもの。子どもと一緒に山に入ると、お互い人としても成長していくようで多方面に面白い。僕も父親と行っていたときはそうだった。今の時代、なかなか子どもとコミュニケーション持つ機会がないんですよ。山に行っていると、この辺は舞茸が出るよとかイワナがいるよとか。そういう楽しみがあるんですよ」

 狩猟を通じた親子のコミュニケーション。山々や木々と向き合いながら、父から子、さらにその子に受け継がれていく地域の自然での過ごし方。まったく想像だにしていなかったコミュニケーションのあり方だが、そう話す姿はどこか嬉しそうであった。

写真=山元茂樹/文藝春秋
取材協力:白山ろくスローツーリズム研究会