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“菓子の下の金貨”関電社長が露呈した非常識な「リスクマネジメント」の言い分

彼らが本当に恐れたビジネスリスクとは何だったのか

2019/10/05

つい口を滑らせて「森山案件」

「森山案件は会社の中でも特別」(岩根社長)

 つい口を滑らせたのか、おそらく社内では森山案件と呼ばれていたらしい。彼らにとって、森山案件はビジネスリスクを発生させる可能性を持つ要因。森山氏自身がリスクになる。リスクは発生する頻度や重要性を評価し、それを社内で共有しなければならない。「森山氏を特別扱いする必要がある」と岩根社長が述べたように、森山案件=森山リスクは最重要で、社内でも取扱注意という認識が共有されていたということだろう。

©iStock.com

「この方の反応といいますか、この方の動きというのは非常に我々も敏感に感じていたのは事実でございまして」(八木会長)

「やはりこれは連綿と先輩から森山氏の話は後輩に引き継がれてきたということでございます」(同前)

 リスクの予防には早期発見、そのためにリスクリテラシーというリスクに関する知識や感性を持つことも重要だ。報告書には「前例踏襲主義の企業風土が存在した」とあり、八木会長は森山氏に対し「過剰に反応していた」と述べた。

金品の受領も工事とは関係のない形で行われた

 森山氏が顧問などに就いていた吉田開発についても、岩根社長は特別扱いしていた旨を眉毛をピクピクさせて説明した。関電原子力事業関連では森山リスクに関する感性を常に鋭く磨き、長年に渡り知識を蓄え、引き継いできたということになる。

福井県高浜町にある関電の原発・高浜発電所第3号機 ©getty

「吉田開発と一緒に来ることもございましたが、工事の話をするときには吉田開発はいなかったというふうに聞いてございます」(岩根社長)

 リスク管理にはリスク要因だけでなく、それにともなって起こるさまざまな事象に対する管理マニュアルも大切だ。関電では工事の受注に際し概算額情報を森山氏に提供していたが、その際、吉田開発は席をはずし、伝えるのは森山氏のみ。金品の受領も工事とは関係のない形で行われた。渡される際に森山氏から工事発注に関する個別要求はなく、頻繁だったため見返りとの認識はないという。