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 曺国法相はメディアに送った辞任文書で家族についてこう触れている。

「すべてをおろして、人生でいちばんつらく苦痛な時間を送っている家族のもとにいて慰めて守ろうと思います。私よりもっと傷ついている家族をもうこれ以上それぞれが耐えてくれとはいえない状況です」

 進歩派が集るネットカフェの書き込みを見るとこんなものがあった。

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「(法相職を)捨てれば大きな機会が再び来ます。戸惑いますが。曺国法相の選択は苦悩の中での深い知恵の産物であります。これから国民のために大きく寄与する機会を持ったと確信します。そんなに悲しまないようにしましょう。2歩前進するために1歩譲歩したと思いましょう」

不正入学疑惑は保守派にも飛び火

 一方、これで勢いがついたかにみられる保守派だが、そうは言い切れないと冒頭の記者は話す。

「曺国前法相騒動に嫌気がさした中道層が一時的に保守派に動いたとみられていて、このままこの支持を持続できるかどうかは懐疑的。保守派は朴槿恵前大統領の弾劾、訴追以降、派内で分裂していて、今回のデモで見せたような結束力は砂の城。求心点がない。

 曺国法相が辞任したことで、疑惑が持ち上がっていた『自由韓国党』の羅卿瑗院内代表の子息を巡る不正入学疑惑などについても矛先が向くと見られ、保守派は笑っている場合ではありません」

「(曺国前法相の)出馬の可能性は排除できない」

 すでに関心は、曺国前法相を巡る検察の捜査結果とそれに伴う来年の総選挙での曺国前法相の出馬に移っている。韓国政界の重鎮、朴智元議員は14日、あるニュース番組で、「(曺国前法相の)出馬の可能性は排除できない」と発言した。

 また、曺国前法相の捜査の陣頭指揮を執っていた尹錫悦検事総長には、進歩派から「これほどの捜査をしなければ曺国は辞めなかった」という声があがっていて、その去就に注目が集っている。

 曺国前法相がもし来年の総選挙で“全国区”となれば、次期大統領も空想ではなくなる。曺国前法相は7月、徴用工問題について自身のSNSで「大法院(最高裁判所)の判決を否定、非難する者は“親日派”と呼ばなければならない」と語り、物議を醸した。日本にとってはさらに強硬な“反日大統領”が誕生する可能性があるのかもしれない。