アイルランド、スコットランドなど強豪を破り、破竹の4連勝で史上初のW杯決勝トーナメント進出を決めたラグビー日本代表。激闘が続く試合の中で、攻守に渡りチームを救ったのが「ナンバー8」の姫野和樹(25)だった。その力の源泉はどこにあるのか。ルーツを探ろうと、姫野の母校・中部大春日丘高(愛知)の宮地真監督(54)に聞いた。

インタビューに答える宮地真監督

英語の勉強を始めた訳

〈めちゃくちゃ嬉しいです。明日の試合に向けて気合が入りました。英語はとりあえず忘れて、ワールドカップ終わったら、死にもの狂いでがんばります〉

 大番狂わせとなったアイルランド戦の直前、宮地監督が姫野に高校関係者の応援メッセージを集めた動画をLINEで送ると、こんな言葉が返ってきたという。姫野はいまも母校の教諭に付いて英語を学び続けている。「英語はとりあえず忘れて」とあるのは、応援動画の中に、英語教諭のメッセージがあったからだ。

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中部大学春日丘高時代の姫野。1年生から花園に出場した ©清水良枝

「姫野が在籍していたときの顧問が英語教諭で、彼は2年くらい前からラグビーの練習の合間に先生の自宅に通って英語を勉強しています。やっぱりレフリーとのコミュニケーションも必要ですし、チームメイトにも外国の選手が多いですから、英語が必要だと感じたのでしょう。その英語教諭も、まさかこんなスーパースターになるとは思っていなかったから、自分の家のソファーで勉強しているなんて驚きでしょうね」(宮地監督)

練習に励む姫野の後輩たち(中部大春日丘高グラウンド) ©文藝春秋

 愛知県名古屋市出身の姫野は、中学時代にラグビー(12人制)を始め、早くも頭角を現す。中学2年ですでに身長180センチにもなり、当時から圧倒的な体格と抜群のセンスで、“怪物中学生”として「姫野」の名は全国に轟いていた。姫野との出会いを、宮地監督は懐かしそうに振り返る。