30年のときを経て今年、日本開催の2019W杯にこぎ着けた
かつて国立競技場で7万人の観客を集めた早明戦の熱狂などすっかり忘れ去られ、ラグビーの試合はサッカーに比べてたいていガラ空き。2万人収容できる秩父宮は閑古鳥が鳴き、数少ない馴染みのオールドファン同士が「また会いましたね」と言葉を交わす。東大阪の花園でおこなわれる高校ラグビーも、テレビで全国放送されるのは決勝戦ぐらいだ。もとよりラグビーは世界が熱狂するメジャースポーツだ。が、日本ではラグビーの競技人口が先細りする一方なのである。
そんな日本ラグビー界の苦境のなか、こうしてスコットランドとの秩父宮決戦から30年のときを経て今年、日本開催の2019W杯にこぎ着けた。ここまで低迷させた日本ラグビー協会への不満もあるが、それよりなにより、よくぞW杯を持ってきてくれた、とつくづく嬉しく思う。
4年前の2015イングランド大会のとき、南ア戦でジャイアントキリングを成し遂げたエディ・ジョーンズジャパンは誰からも絶賛されるが、その前のジョン・カーワン・ヘッドコーチも強くした。ジャパンが今大会最大の注目チームに成長したのは間違いない。
本気で闘う相手ではないと考えられていたのもたしか
しかし、本音をいえば、やはりその強さには半信半疑の部分もあった。国際大会はどれもそうだが、今度のW杯を見ても、とりわけ強豪チームは予選プールの試合日程や勝ち点を計算しながら、試合ごとにメンバーを入れ替える。わが予選プールAでは、アイルランドがジャパン戦でスタンドオフの名手ジョニー・セクストンをはじめバックスレギュラーの4人を外してきた。フォワードさえベストメンバーを組めば、ジャパンなど相手にならない、といわんばかりだ。
その結果はご承知の通り。ジャパンはフォワード戦で互角以上の闘いをしてスクラムでファウルを誘い、バックス陣も躍動して快勝。焦るアイルランドを目のあたりにし、勇敢な桜の戦士たちを誇らしく感じた。だが、反面、ティア1と称される世界のトップクラスにとって、ジャパンがまだまだ本気で闘う相手ではないと考えられていたのもたしかだろう。
プールA3戦目のサモアにも苦戦を強いられた。アイルランドやスコットランドがサモアに圧勝しているだけに、スコットランドとの大一番を前に、ジャパンの実力はまだまだなのだろうか、と不安にもなる。