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10月20日のW杯準々決勝の南ア戦の結果はいかに

 そしてベスト8をかけた運命のスコットランド戦がやって来た。相手はボーナスポイント付きで勝たなければ予選敗退する。そこでスコットランドは4日前のロシア戦で14人のレギュラーメンバーを温存し、休養十分の選手をジャパン戦にぶつけてきた。

3戦連続でトライを決め、世界にその名を轟かせた福岡 ©JMPA

 前半3トライをあげたジャパンの21点に対し、スコットランドは1トライのみの7点に抑え込み、後半の開始早々2分過ぎにはさらに快速ウイング福岡堅樹のトライで28点とする。これで28対7。意外にあっさり勝てるかもしれない、と気が抜けかけたすぐあとだ。スコットランドが反撃を開始し、残り20分で7点差の21点まで追い上げられてしまった。

 やはりラグビーの母国は違う。そう唸らせる強豪のスキルとメンタルの強さがひしひしと迫ってくる。おまけに、ジャパンの様子が変だった。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが200日を超える合宿で鍛えに鍛え、これまで後半になればなるほど走り勝ってきた自慢のスタミナが切れかけ、足が止まりかけている……。

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ラスト20分間、自陣での攻防をしのぎきった ©JMPA

 スコットランドの大男にゴール前まで押し込まれ、守り一辺倒。互いに体力の限界を超えた攻防がずっと続く。

 残り4分で相手ボールを奪い、かろうじて7点差を守り切り、フルバックの山中亮平が横に蹴り出す。スタジアム全体が歓喜の叫びに揺れた。

 宿澤ジャパンの勝利から続く因縁のスコットランド戦。4年前のエディジャパンの大敗を僅差でやり返した。それはジャパンの正真正銘の強さを味わった瞬間でもあった。

ノーサイドの瞬間、超満員のスタジアムが揺れた ©JMPA

「やったぁ~」

 7万の観客が総立ちし、両手を突き上げる。歓喜の言葉はいっさい飾り気がなく素朴だ。

 日本のラグビー界にとって初めて足を踏み入れる10月20日のW杯準々決勝の南ア戦は、奇しくも、宿澤ジャパンで主将を務めた平尾誠二の命日にあたる。