1ページ目から読む
3/3ページ目

 文氏は辞任した曺氏の検察改革への姿勢を評価しており、検察改革が文政権にとって最重要課題だとし、その実現に向けて「最後まで邁進する」と宣言してもいる。曺氏は約1カ月の在任期間に、検察の捜査対象を賄賂犯罪や企業犯罪に限定するなどの改革案をまとめた。韓国政府は曺氏辞任の翌15日に一部の制度改革を閣議決定している。

 また、文氏の南北関係改善への夢も不変だ。10月15日、平壌で行われたサッカーW杯2次予選の南北対決は、北朝鮮側の意向でライブ中継もない上に、無観客で行われる異例の試合となったが、韓国代表は入国審査で持ち込んだ食料を没収されるなどの嫌がらせを受けた。さらに試合中も、北朝鮮代表から悪質なラフプレーや、表現できないような罵声を受けたという。

「戦争のようだった」(韓国サッカー協会の崔英一副会長)
「ケガなく帰ってこられただけでもよかった」(韓国代表の孫興民主将)

ADVERTISEMENT

 と、韓国代表が生で感じた「北朝鮮の現実」を語っている。にもかかわらず、韓国統一省は北朝鮮を刺激する行動を極力避け、文大統領に至っては、試合後の18日、大統領府に韓国駐在の各国大使ら外交官を招いた挨拶でも、朝鮮半島の和平に向けた持論を改めて披露した。文政権は相変わらず北朝鮮には甘く、弱いのだ。これに対しては、ネット上でも議論が白熱し、北朝鮮への怒りや韓国政府の腰のぬけたようなふがいない対応に批判が出ている。

訪日する李洛淵首相に丸投げ

 文大統領は、10月22日に行われる天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に、政権ナンバー2の李洛淵(イ・ナギョン)首相を出席させる。安倍首相との会談も予定され、文大統領の親書を手渡すことも検討されている。 

安倍首相と握手する韓国の李洛淵首相(2018年9月11日) ©共同通信社

 李首相は韓国紙の東京特派員経験もある政権きっての"知日派"。安倍首相と昨年会談した際には、「安倍首相が官房長官就任前の2005年に訪韓した際、ソウルで焼酎を酌み交わした」と語って、その場を和ませたこともあった。文大統領はそんな李首相に関係改善を丸投げした格好だ。

 国内政策で追い詰められた文政権は、これ以上日韓関係を悪化させて、不安要素を増やしたくないというのが本音だろう。だが、徴用工問題など重要課題については全く進展がない今、一朝一夕には日韓関係が改善するとは到底思えない。

文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。

※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。