『たいむとんねる』は番組開始以来、スタイルがたびたび変更されるなど試行錯誤が続いているが、ゲストを招いて石橋が自分の好きなこと、懐かしの話題について熱くトークを繰り広げるという基本コンセプトは変わっていない。石橋自身も、《この番組で、僕がやりたいことはたくさんある。すぐプロデューサーからお金がないって言われるけど(笑)。(中略)お散歩、クイズ、健康もいいけど、それだけじゃね。予定調和をぶっ壊していかないと。テレビが頑張らないと。壊しがいがないよ!(笑)》と、最近のインタビューで意気込みを語っていた(※1)。
引用した発言からは、石橋がまだまだテレビに望みを捨てていないことがうかがえる。同時期の別のインタビューでも、《スマホで10秒、15秒の動画を見て楽しんでいる人たちに、1時間の番組にテレビのチャンネルを合わせさせるのって、相当考えないといけない。とりあえず打席に立ってヒット打ってたって、誰も見てくれない。でっかいホームラン打たなきゃ。もっと違うところに頭使って、汗かけば、まだあると思うんだよね、面白いことは。それを諦めた時は終わってしまう》と持論を述べた(※2)。
「45歳でテレビの仕事をやめて、シェフになる」
4年前にとんねるずの2人で応えたインタビューでは、コンビの今後を問われ、木梨が《ただ自分たちが面白いと思うことをね、やっていくだけだと思いますよ》と答えたのに対し、石橋は、《まあ、テレビに関してはもう少し遊べるスペースがあるのなら、そこでまだまだ遊びたいなとは思ってます。(中略)まだテレビというメディアは面白くなると思ってますからね。そのためにどんなことができるのかって、考えています。もっと違う形で面白いことがあるんじゃないかと僕は思ってます》と語った(※3)。自由な木梨に対し、石橋は自分でも認めているように、どこかプロデューサー的な見方をしていることが、この発言からもうかがえる。
ちなみにとんねるずは、1994年にそれまで所属していた事務所から独立し、石橋が社長になって個人事務所・アライバルを設立している。とんねるずとは互いに駆け出しのころから仕事をしてきた秋元康は、石橋は経営者に向いていると当人との対談で評した。これに対し、石橋は次のように自分のなかでの葛藤を吐露している。