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 ナンシー関がいみじくも指摘したとおり、とんねるずを“延命”させたのは、昔から支持してきたファンだったはずだ。とんねるずの2人もそんなファンに対し、サービスを惜しまなかった。今回、石橋が野猿の元メンバーを招いて新ユニットを結成したのも、昔からのファンに対するサービス精神があってのことだろう。

 サービスといえば、石橋は先の秋元康との対談で、《もともとサービス業というのがものすごく自分に合ってると思っていて、俺はテレビの仕事もサービス業だと思ってるんですよ。サービスすることによって相手が気持ち良くなるというのは、レストランだとかホテルと同じだと思う。自分の中で(中略)唯一残されたセンスは人にサービスすることだという気がする》とも語っていた(※4)。

石橋の逆襲が見たい

 最近の石橋が冴えないように見えるのは、ひょっとすると、昔からのファンを断ち切れない、彼のサービス精神に原因があるのではないだろうか。新たなファン層を開拓するよりも、昔からのファンを大事にし、その期待に応えるべく活動を展開する、そんな老舗のような域にとんねるずは入ったのかもしれない。しかしかつてのファン層はテレビをあまり見なくなっている。それが『たいむとんねる』の視聴率の低迷へつながっているのではないか。しかし志向としてはけっして悪いことではないし、いまはそのための方策を模索する過渡期ともいえる。プロデューサー気質の強い石橋のことだから、きっといまもさまざまな企みを巡らせているに違いない。

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 先週末の『木梨の会。』では番組の終わりがけ、こんなリスナーからのメッセージが読まれていた。そのリスナーは、先日の台風19号で実家が川の氾濫で被災したが、今月末から来月にかけて石橋と木梨のそれぞれのライブに行く予定なので、それにまにあうように、いま復旧作業を進めているという。このときのリクエスト曲はとんねるずの「どうにかなるさ」であった。今回の石橋と木梨のアーティストとしての活動再開が、このリスナーだけでなく、現在それぞれの場所で頑張っている多くのオールドファンの励みになることを願いたい。

※1 『TVガイド』2019年8月16日号
※2 「Yahoo!ニュース」2019年5月24日配信
※3 『BIG tomorrow』2015年7月号
※4 『秋元康大全97%』(エイティーワン・エンタテインメント、2000年)
※5 『週刊朝日』1999年2月12日号