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世界遺産・泰山でご来光を拝む

 翌朝7:25発の高速鉄道で南京南駅を出発し泰安駅へ向かう。南京南駅構内で買った朝ごはんの肉まんが美味しい。中国では観光地であれば山頂でも食べ物が買えるので、わざわざ非常食を用意しなくていい安心感がある。

中国では砂糖が入ったペットボトルのお茶が普通だが、写真のジャスミン茶は無糖で美味しく、日本人旅行者にも人気。中国全土どこでも売っている。

 ところでこの日もまた隣席に巨漢が座って私の座席に体をはみ出してきた。隣人が途中下車することを期待していたが、南京~泰安の乗車2時間40分の間、体を斜めにして避け続けることになった。

 腰に違和感を覚えつつ泰安に到着。東京を起点とすると、ようやく山陽新幹線の広島駅あたりまで来たところだ。既に京滬高速鉄道の三分の二を走破し、北京まで残すところ465km。

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 泰安には、5元札にも描かれている世界遺産の泰山がある。碧霞元君という女神様が祀られており、一番優しい神様として人気なんだとか。中国王朝時代から現在まで参拝者が非常に多く、文化遺産の比重が大きい複合遺産として世界遺産に登録されている。登山道は全て石段で整備されていて、登山というよりは境内の階段をひたすら登っていく印象だ。

朝の山頂はかなり冷え込む。山頂にはジャケットレンタル屋がいて、未明から借りることができる。

 宿泊した山頂のホテルで翌朝3時半に起床し、ご来光を見るために朝日が見える場所まで移動する。日曜日だからか多くの観光客が訪れており、まるで土日の富士山頂のような混雑だ。朝日をありがたがる感覚は、中国人も日本人も似ているらしい。

 朝日が出るまで寒さを堪えて待っていると、ついさっきまで晴れ渡っていた山頂を雲が覆ってきた。雲はどんどん広がり一気に曇ってしまった。残念なことに日の出の時間になっても晴れることはなく、周囲のおじさんおばさんから「アイヤー!」の声が響き渡る。次の鉄道出発時刻は10時8分。もたもたしていたら乗り遅れてしまうので、私も「アイヤー……」と落胆しながら下山した。

山を覆う雲。あと少しで日の出だったのに残念。