開業からわずか3年で世界最長に……中国の爆安新幹線の実態はどんなものか？

ついでで完走することにした京津都市間鉄道では…

　泰安～北京はおよそ2時間。今度こそ快適な移動を期待したが、またもや巨漢が隣席に座って私の座席を一部占領しているではないか。3連チャンとはどんな罰ゲームだ。登山で疲れて揉める気力もないし、乗車時間も2時間程度だし、と我慢することにした1時間後である。背中に痛みを感じて少し体勢を変えた瞬間、腰からバキンッと変な音がして、その直後から声が出そうな腰痛が襲ってきた。あと1時間もすれば下車できるし、今が痛みのピークだろうと甘く見ていたが、この後悲惨なことになった。

　想定外の腰痛にヘロヘロになりながら北京に到着し、京滬高速鉄道を走破した。在来線と違って高速鉄道は速度が速すぎて景色が記憶に残らず、旅情に浸るゆとりがないのが正直なところだが、せっかく走破したことだし北京南駅のマクドナルド中国限定スイーツでひっそり祝勝会を開催した。その1時間後、ついでで完走することにした京津都市間鉄道では、どう腰痛に響かない座り方ができるかで悩んだ思い出しかない。

　高速鉄道走破をきっかけに始まった腰痛だが、翌週末に香港、翌々週末にまた上海と、往復共に深夜便を使って週末旅行を繰り返し腰に負担を与え続けた結果、上海で激痛のあまり歩けなくなり病院に運ばれる羽目になった。帰国後MRIで精密検査をしたところ医者から腰椎椎間板症を言い渡され、強烈な足腰の痛みとしびれに4ヶ月ほど悩まされることとなった。

今回の予算とスケジュール

　高速鉄道の客層は東海道新幹線のような出張サラリーマン率が高く、誰ともコミュニケーションを取らず短時間で呆気なく目的地についてしまうので、子供の頃に海外鉄への憧れをがっつり洗脳してくれたテレビ朝日「世界の車窓から」のような旅情を期待すると物足りなさを感じてしまうが、広大すぎる中国を短い日程で楽しめることは多忙な日本のサラリーマンにとって好都合でしかない。