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岩ちゃん「正社員になる!」CMから考える就労の分断と、“親近感推し”有名人が「頂点をとる」理由

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

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「ぷは~」「おいし~」「しあわせ~」が繰り返される“CMっぽい”CM作り

おぐら あと気になるCMといえば、アルコール飲料ですね。ビール、糖質ゼロ・オフ系の発泡酒、ノンアルコールビール、そしてアルコール度数強めの缶チューハイと、それぞれのCMを見るとターゲットがわかりやすく差別化されています。

速水 ブランドイメージで売るか、商品特性で売るかの違いもあるし。

おぐら ひと昔前は、作品っぽいCMがけっこうあって、僕がCMプロダクションで働いていた頃は、山崎努と豊川悦司が出てたサッポロ黒ラベルのCMとかよく資料で使われてました。のちに『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『告白』などを撮ることになる中島哲也監督の作品。

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速水 2000年くらいまでは、ぎりぎりCMクリエイターがスターだった時代。

おぐら 最近はもう「ぷは~」「おいし~」「しあわせ~」だけで出来てるようなCMが多くて、出演者による「ぷは~」のバリエーション違いを見てるような気分です。

キリン一番搾り生ビール 「満島ひかり 餃子とビール」篇

 

ザ・プレミアム・モルツ 〈香る〉エール『神泡ください(石原さとみ・もう試した?)』篇

 

速水 ビールのCMは、いかにもビールのCMっぽく作りましょうっていう流れがずっとある。

おぐら ビールと比べて、糖質ゼロ・オフ系はおとなしい雰囲気ですね。多部未華子が森の中でほっこりしていたり。

淡麗グリーンラベルCM 「GREEN JUKEBOX 雪」篇

 

速水 わざわざ糖質オフを選ぶ層には、そういうCMのほうが響くってことなんだろね。

おぐら アルコール度数強めの缶チューハイは、とにかく過剰で大げさな演出。「ぷは~」どころか「ぎえ~」みたいな。ストロングゼロのCMとか、天海祐希に沢村一樹、寺島進のような俳優を揃えておきながら、やたらハイテンションで露骨な演技です。

-196℃ ストロングゼロ『夏メシチューハイでギョーザBBQすすむ!』篇

 

速水 でもこの大げさな演技をすることによって、ものすごい金額のギャラがもらえるんだよ。

おぐら ついでに言うと、CM上の演出とはいえ、居酒屋とかのお店の中で普通に缶ビールとか缶チューハイを飲んでるCMがよくありますけど、あれまったく意味わかりません。

何もなかった一日 篇

 

-196℃ストロングゼロ『ライバル編集長の崩壊』篇