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顔写真の“瞳に映った景色”から自宅を特定……SNS専門家が教える「こんな投稿が実は危ない!」3つのポイント

写りこんだ「マンホールやレシート」から個人情報が漏れてしまう

2019/11/02
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「顔写真の瞳に映っている景色から、女性アイドルの自宅住所を特定した――」

 まるで映画のシナリオではないかと思うほどに恐ろしく、身の毛がよだつような事件が、現実に起きてしまった。

SNSにアップされた顔写真から最寄りの駅を特定

 報道によると、9月に逮捕された26歳の男は、アイドル活動をしている女性がSNSにアップロードしていた顔写真の「瞳に映った景色」から最寄りの駅を特定。女性をその駅で待ち伏せ、後をつけて自宅マンションを特定した。そして帰宅したところを狙い、後ろから顔にタオルを押し当てて引き倒し、女性の体を触るなどして全治1週間のけがを負わせたという。

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©iStock.com

 スマートフォンを中心としたモバイル端末は近年で急速に普及し、現在その保有率は80%を越えた。そしてSNSは、もはや現代社会において欠かせないコミュニケーションツールとなり、電気、ガス、水道にも匹敵するインフラになったと言っても過言では無い。

 しかしながら、便利さの裏には多様なリスクも存在している。なかでも今回は上記事件で起きた、個人の行動範囲や動線、そして住所の特定などに繋がる「モザイクアプローチ」についてお伝えしたい。

個人情報を特定する「モザイクアプローチ」とは

「瞳に映った景色から」という部分にフォーカスすると、これは大変ショッキングな事件ではあるが、それは被告が得た情報の一部でしかなかったはずだ。現実的に考えれば、「瞳の中の情報」だけで駅名や自宅の住所まで特定することは難しい。

 そう考えると、被害女性の熱狂的なファンだった被告は、瞳に映った景色のみならず、SNSで発信された投稿などから複数の断片的な情報を抽出し、それを元に女性の行動範囲を特定していた、ということになる。

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 実際、動画に映っていたカーテンの位置や、自然光の入り方といった室内の様子をもとに、被告は女性が住んでいる部屋の位置まで突き止めていた、という報道もあった。

 このように、様々な情報を組み合わせることにより、個人情報を特定していく手法を「モザイクアプローチ」という。それひとつでは特定に到らなくても、複数の情報を組み合わせることで、個人のプライベートを覗き見ることが可能になるのだ。