ペニーワイズの殺人鬼ぶりも友情をめぐるドラマもパワーアップ
そんな前作から27年後を舞台に、40歳となったルーザーズ・クラブがペニーワイズとの再戦に臨む『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が放たれたわけだが、恐ろしさはまったく薄まっていない。十数メートルもの大きさになったり、風船にブラ下がって空を飛んだり、蜘蛛型モンスターとなって猛スピードで追いかけてきたりと、ペニーワイズの暴れぶりはパワーアップ。だが、それよりも大人になってもメンバーたちが“傷”と“負”を乗り越えられていなかったことに愕然としてしまう。
故郷の町に戻って懐かしさを噛みしめると同時に、子供時代の思い出したくないあれこれもフラッシュバックしてしまう。どんなに年数が過ぎても、仕事や肩書によって自信を得ようとも、劣等感や罪悪感はトラウマと化して絶対に離れることがないというイヤ~な真理をペニーワイズは突いてくる。だが、ルーザーズ・クラブが育んだ友情と絆の固さもまったく変わっていないのだ。そして、これが彼に立ち向かうための強大なパワーとなり、泣かせどころにもなっていく。仕事や家庭など子供の頃よりも失いたくないものが多いはずなのに、戦いから逃げないビルたちの決心と勇気には、筆者も彼らと年齢が近いこともあってか染みに染みてしかたがなかった。
“THE END”と銘打たれているだけに物語はこれで完結するが、けっして潰(つい)えることがないであろうルーザーズ・クラブの友情はぜひとも追いかけたい。なんたって人生100年時代であるのだから、彼らが67歳、94歳になった第3弾、第4弾も作ってほしいのだが……。
INFORMATION
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
配給:ワーナー・ブラザース映画
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