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アルコール依存症の自覚がないまま、泥酔中に離婚した40歳男性が語る「人生の債務」

2019/11/09
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アルコール依存症の自覚がないまま、泥酔中に離婚

 ある時、自宅最寄りの駅前で酔いつぶれて寝転がっていたら、女性が声をかけてくれたんです。よく見たら、洋子でした。本当に優しい女性なんです。なのに僕ときたら、ささいなことで彼女と口論し、今から思えば信じられないほど酷い罵詈雑言を吐いて、よく彼女を涙ぐませていました。手を出したことはありませんが、暴力という意味では同じです」

 離婚の決め手もちょっとした口論だ。泥酔した竹田さんが「じゃあ、もう離婚する?」と言うと、洋子さんは躊躇せず、「うん」と首を縦に振ったという。竹田さん31歳、洋子さん29歳。交際をはじめてから約10年で、ふたりの関係は終わった。

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 竹田さんは10年近く前の離婚を今でも悔いている。

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「僕は東北の田舎育ち。周囲に離婚している家庭がひとつもなかったので、家族というものは永遠なんだと、心のどこかで思っていました。でも自分の手で家族を壊してしまったことで、家族ってこんな簡単に壊れるんだと思い知ったんです。ショックでした」

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 洋子さんの人生を台無しにしてしまった罪悪感と自己嫌悪で、竹田さんの心はいっそう荒んでいく。離婚後、3人の女性と付き合ったが、やはり酒癖が邪魔をして長続きしない。

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