発売とともに、業界内外を騒がしている異色のコラボ増刊「ビームス×週刊文春」。ビームスと各界著名人の秘話を追った特集「大型ワイド ビームス人秘録」から高倉健のエピソードをご紹介!

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 かつてビームスには、高倉健が頼りにする販売員がいた――ビームス草創期を彩る伝説のひとつである。真偽のほどを確かめるべく、調査を開始。しばらくすると、ある人物が浮上する。登地勝志氏(64)。現役のスタイリストでもある。

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鎌倉・光明寺に建立された健さんの墓碑と登地氏

「ビームスにいた時の話をということなので、当時と同じような格好で来ました。あの頃は原宿の一号店に、ビームスFも入っていて。私はFの販売員として、デザイナーズブランドから1981年に転職してきたんです」

 登地氏はにこやかに語る。髪はロマンスグレーのクルーカット。背が高く、スラリとした体格に、カーキのコットンスーツと黒のニットタイが映えていた。

 話に出た一号店とは、現在は「ビームス 原宿」と呼ばれる店のこと。明治通り沿いにあるこの場所が仕事場だった。当時の界隈は現在の喧騒とはほど遠く、洒落者がのんびり買い物を楽しむような余裕があった。

「今ほど道路事情も厳しくなかったので、店の前に車を駐めて、買い物をするお客さんも多かったんです。(高倉)健さんもそんなふうにフラリとお越しになりました。平均すると、月に1、2度ほどですかね」