「反日種族主義~日韓危機の根源」李栄薫 編著

 慰安婦、徴用工における韓国反日歴史観のウソを立証した画期的な「反日種族主義」の日本語版「反日種族主義~日韓危機の根源」が日本発売されるやベストセラーのトップにおどり出た。これまで自国を支配してきた歴史観を正面から否定する挑発的な論であるにも関わらず韓国で11万部という異例のベストセラーとなり、いまも売れ続けている。著者で執筆グループのリーダー、李栄薫氏(前ソウル大教授)は韓国の学会で最も政治的な歴史認識戦争に知力を尽くして挑みかかった人物だ。李氏に韓国人、そして日本人に問いかけたかったことを聞いた。

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――韓国で「反日種族主義」は7月に発売されたばかりですが、日本語版を出される意味はどこにあるのでしょう。

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 いま普通の日本人は、韓国人はだいたい皆が反日と考えていると思います。実際は韓国にはそうではない国民が多いことを伝えたい。それが日本語版の意義です。韓国人がどのような歴史的矛盾の病理にかかって苦しんでいるか、それに関してもっと日本人が理解してくれたらと思います。いろいろな問題が生じても、もっと合理的な解決ができるようになるのではと思います。

 韓国人は自分自身がどのような民族であるかを、もっと国際的に客観化することが必要です。「韓国人は嘘つきである」というのは韓国人にとって気分がよくないかもしれないが、それを知ることには意味があります。気分はよくないはずですが、ハハハ。しかし韓国人はこれを克服する必要があります。

 この本は、日本のいわゆる左派とか進歩的知識人に反省を促す意味もあります。いままで慰安婦、徴用工の問題は、日本の左派と韓国の左派が連携してきました。それは結果的に両国の関係を悪化させる役割しかなかったのです。左派は連携しますね、日本の左派は政治的です。彼らの説は日韓関係を悪化させるのに非常に役に立ちました。

李栄薫氏

――韓国の民族史観を引っ張ってきたのは韓国の歴史学者自身でした。ですから日韓歴史問題の根っこは深いのだと思います。これまでも韓国の学者で既存の対日史観を批判したために社会的な制裁を受けた方々がおられます。韓国社会から受け入れられず「親日派」として激しい指弾を受けました。しかし、今回の「反日種族主義」はベストセラーになりました。なぜでしょう。

 私たちの本は韓国の政治に危機感を持っている国民に受け入れられました。マジョリティではないが、我々に対する支持率は30~40%ぐらいだろうと思います。いずれにしても意外に数多い人たちが、危機感を持っているのだと思います。この本がベストセラーになったのは、ある意味では歴史的な現象だと思います。反発はまだまだ生じるでしょうが、われわれはそれに対応していきます。この論争を持続させて、韓国人の歴史認識を問題にしていきます。あくまでも私は、研究者として希望を持っています。