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28歳女性が、婚活マッチングアプリで「年収3千万」の「パティシエ」と出会った話

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婚活アプリで出会う会社員男性の8割の「趣味」は……

 最初のうちは新しい人と出会い、食事するだけで楽しかった。どんな仕事をしているのか、休日は何をして過ごすのか、自己紹介をするだけで初対面の2時間くらいはあっという間だ。普段の生活では出会うことのない異業種の人と話すのはいつも新鮮で、勉強にもなった。「旅行会社の添乗員」とは旅の話で盛り上がり、「化粧品会社の営業」にはサンプルをいっぱい貰った。

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 しかし、いつからか「素敵な人との出会い」より「いかに面白い人と出会うか」が目的となっていった。プロフィール欄で注目するのは年収や結婚観より職業や趣味の珍しさ。フットサルの話は聞き飽きたが(婚活アプリで出会う会社員男性の8割くらいは趣味がフットサルである)「自作PC」が趣味の男性にはあれこれ質問した。銀英伝で階級萌えが続いていたので普段はマッチョが苦手なのに「元自衛隊員」とも会った。

「パティシエ」で「年収3千万」だった若い男性

 一番面白かったのは職業が「パティシエ」で「年収3千万」だった若い男性だ。どうやったら20代のパティシエが年収3千万も稼げるんだ? 釣りなのか? 実は業界では有名人なのかな。メッセージで届いた彼の本名でググってみると、ひとつのブログがヒットした。それは、彼が「飼い犬のハナちゃん」になりきり、「ご主人(=自分)」を観察する内容の、日々の記録だった。「ご主人、今日はフレンチを食べてきたんだって♡」「ご主人は女の人にモテモテなんだよ!(ご主人のキメ顔写真)」「ご主人の作るお菓子は、世界一☆︎」……パティシエという職業は嘘ではないようだったが、あまりの内容にブラウザをそっ閉じした。世間にはいろんな人がいる。

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 ちょっといいなと思った男性がいた。彼はプロフィールに「コードギアス」(私が一番好きなアニメ)が好きだと書いていて、高学歴で映画配給会社に勤めていて映画にものすごく詳しく、高身長イケメンだった。趣味も合うし変なブログもやってない!(たぶん)