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28歳女性が、婚活マッチングアプリで「年収3千万」の「パティシエ」と出会った話

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私は並行して新しい恋を始めていた

 しかし、私は並行して新しい恋を始めていた。『進撃の巨人』である。久々に旬ジャンルにのめり込んだ私は、毎週のように開催される即売会イベントに通い大量の同人誌を購入していた。ある週末、ビッグサイトにいる私に彼から「今夜飲みに行かない?」とデートのお誘いLINEがあった。まだお昼前で、家に荷物を置いてから向かっても余裕で間に合う。でも私は考えるより早く「ごめん、今夜は予定ある」と返信していた。今両手に抱えている宝の山を、できるだけ早く読みたかった。始発で並んだから、めちゃくちゃ眠いし。

「あ、私、銀英伝の時と何も変わってないんだ。」と気付いた。そしてやっと「今めちゃくちゃ楽しいし、別にこのまま一生結婚しなくてもいいや」と思えた。そこで婚活アプリは退会した。

©iStock.com

 アプリに登録していた期間は半年にも満たなかったが、それなりに楽しかったし、幸運なことに特に嫌な思いはしなかった。何人かとは今もフェイスブック上で友達だったりする。

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 一番大きな収穫は、多くの男性と話したことで「私なんかもう誰とも付き合えないんだ」という気持ちがすっかり薄れ「地球上に男が何人いると思ってるの?」という前向きな気分が戻ってきたことだ。どん底だった私の自己肯定感は満たされたし、女子会での鉄板ネタがいくつも生まれた。ありがとう、そしてさようなら婚活アプリ。

(書籍収録の文章を一部編集しています)

28歳女性が、婚活マッチングアプリで「年収3千万」の「パティシエ」と出会った話

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