また「桜を見る会」の参加者を推薦していたかどうかについては「総理、副総理、官房長官、副長官が推薦をする長年の慣行があり、基準があいまいでプロセスが不透明だという指摘があった。そこは反省して、見直しを行いたい」と語った。安倍氏としては、現段階で自分に向けられた疑問をできるだけ丁寧に答えたつもりなのだろう。
それにしても、この日の光景は異例だった。内閣記者会が安倍氏にインタビューを求めることはままあるが、安倍氏が応じることは少ない。北朝鮮のミサイル発射や閣僚の辞任といった事態になった時は応じるが、安倍氏は、あらかじめ準備していたコメントを読み上げて、記者からの質問は受けずに引き返すというパターンが続く。
計21分間、約30問の質問に応じる「異例の対応」
ところが、この日は約30問にわたって記者団の質問に応じた。計21分に及ぶ。記者団から「改めて記者会見を開く考えはあるのか」と聞かれると「もし質問するなら、今されたほうがいいと思います。今、してください」と促した。
報道各社の首相担当は年少の記者が務めることが多い。昼夜首相をウオッチする激務だが、実際に首相と会話をする機会はほとんどなない。この日のインタビューで初めて安倍氏とやりとりをした若い記者もいたのかもしれない。
驚くことに、この日は昼にも一度目の記者インタビューに応じている。この時は1分足らずで打ち切っているが、それでも2問の追加質問を受けている。
「質問するなら今」という発言を含めて考えると、とにかく疑惑追及を打ち止めにしようという執念が感じ取れる。
「1日2回の記者対応」が逆効果になった第1次安倍政権
「1日に2回の記者インタビュー」といえば、2001年から2006年まで首相を務めた小泉純一郎氏も、在任中は1日2回の記者インタビューに応じた。小泉氏は、硬軟とりまぜた質問に、時には舌鋒鋭く、時にはユーモアを交えて短いコメントを発し続けた。「失言」と批判されることもあったが、総じてテレビの報道番組などが優先的に報道して政権アピールには有効だった。